赤川次郎『三毛猫ホームズの暗黒迷路』

定年直前の刑事を襲った悲劇。
その刑事は59歳、定年まであとわずか一ヶ月。
出世より現場を選んだ大ベテラン。
刑事という仕事は無理をしがちだ、その男の体も、長年の無理がたたって、かなり軋み声をあげていた。
が、男の望みは、この連続殺人犯の男を逮捕して引退の花道を飾ること。
痛む体をだましだまし、殺人犯を追い詰めて、ついに撃ちとったと思ったのに。
倒れたのは、違う男。まだ24歳の新人刑事。
誤って仲間を射殺してしまったのだ。
しかも、その現場を、殺人犯に見られていた・・・
老刑事の生活が狂っていく。
家族も、歯車の狂いに引き込まれて行く。
* * * * * *
片山義太郎、警視庁捜査一課の刑事、独身。ひょろりとした長身でなで肩、童顔、女性恐怖症・高所恐怖症・アルコールだめ・方向音痴。
片山晴美、今は無職、好奇心過剰で刑事ごっこ大好き。
石津刑事はそんな晴美にとことん惚れ込んでいる。目黒署所属なのにいつも義太郎=晴美にくっついて歩いている。
そして、三毛猫のホームズ。冷静沈着、勇猛果敢、頭脳明晰、忍耐強く、人間想いの、猫離れした猫。
今回も後出しも後出し、って感じの結末でしたが・・・
三毛猫ホームズシリーズは、読者との推理競合より、エンターテインメント性第一、アップテンポさが何より重要って感じの作品群なのですから、文句はいわずに、快適なスピードを楽しましょう、ってところでしょうか?
ほんわか人情も、殺伐とした憎悪も、軽いジョークも、重い人生も、全部ごった煮になっています。
このかき混ぜ方は、他の作家には到底真似はできない、まさに赤川ワールドですにゃあ。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『三毛猫ホームズの暗黒迷路』
- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:光文社 カッパノベルズ
- 発行:2007年
- NDC:913.6(日本文学)推理小説
- ISBN:9784334076511
- 220ページ
- 登場ニャン物:ホームズ
- 登場動物:-