赤川次郎『三毛猫ホームズの茶話会(さわかい)』
資産家の身勝手に振り回される人々。
ある財閥の会長が事故死し、その後を継いだ妻も、なぜかわずか1か月後に自殺。
遺言により、一人娘が会長の座を引き継ぐことに。
その娘はまだ25歳、しかも事情でずっと別居、当然ながら、会社(それも財閥)経営のことなんか、まだ何もわからない。
先代から引き継いだ優秀な秘書に助けられて、お飾り的存在ではあるものの、なんとか業務をこなしていたが。
占い師に「あなたの周囲で人が次々と死ぬ」と予言される。
彼女自身、なぜか常に誰かに見張られている気がして落ち着かない。
そして、本当に人が死んでいき・・・
* * * * *
片山義太郎、警視庁捜査一課の刑事、女性恐怖症、高所恐怖症、方向音痴、アルコールはまるでダメ。
ひょろりと長身でなで肩、童顔、その優しすぎる性格は、およそ刑事には向いていないように見えるが、・・・
彼が行くところ、常に殺人事件ありき?
なぜか常に妹の晴美(警察の人間ではない!ただの一般人)と、三毛猫ホームズが同行し、石津刑事(目黒署所属、義太郎の部下でもなんでもない!)も同行し、そして、なんだかんだ言いながら、毎回みごとに事件を解決。
さらに・・・
女性恐怖症の義太郎だが、毎回、女性にモテること!
最初のころこそ、自他ともに「モテない」と認めていたが、いつしかその「自他」から「他」が抜けて、「モテない」と思っているのは義太郎自身だけ?となり?
ついに今回
「お兄さんって、結構もてるくせに、いざとなると逃げ腰なのよね」
「大きなお世話だ」
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なんて会話が登場した(笑)。
そう、あの無遠慮な晴美でさえ、義太郎はモテると認めたのだ。
そりゃそうでしょう。毎回、若い美人が、義太郎に積極的に迫って、すばやくキスしたり、あからさまに誘惑したり。
これで「モテない男」設定はあまりに無理があるというもの。
・・・むしろ晴美の方が、モテない女子なのでは?
石津こそ、晴美にぞっこん惚れぬいているけれど、他の男性はほとんど寄ってきませんねえ。今回はその石津にも、若い女性が寄ろうとしたのね?
晴美さん、元気で明るくて自称美人だけど、まわりの男性たち、兄や恋人をアゴで使っている威張った女と、あなたを見抜いているのかもよ。
・・・と、晴美自身に見習って、私も無遠慮に批評。
にゃは。
だってさ~
この兄妹、相変わらずホームズを、ただの便利な道具みたいに扱っているんだもん。
とくに晴美ね。
猫をこき使うな!
猫は昼間は寝かせてあげて!
猫は人混みの中を歩かせないで!
世の中、猫好きばかりじゃないし、足元に注意して歩いている人間ばかりじゃないし、注意していても必ず避けられるとは限らないのだし。
人混みみの中、ホームズを抱き上げもせず、後ろについて歩かせるシーンがでてくるたびに、私はハラハラしてしまうのです。
たとえ「お話・フィクション」とわかっていても。
あと、猫に、凶悪犯(人間)に立ち向かわせないで!
猫はシェパードじゃありません。もし大の男が本気で猫を床にたたきつけたら、猫は大怪我をします。踏みつけられれば猫は死にます。
ホームズに「守ってもらう」ことばかりを考えないで、もっと「守ってあげて」ください。
と、・・・
ここはあくまで「猫愛護サイト」内の一コンテンツですので、猫に対する扱いに関しては極めて口うるさいのです。たとえ小説の中の話であっても。
なぜなら、世の中、無思慮に真似をするバカが多いですからね。
飼い猫を、無思慮に人混みに連れ出して放つようなバカがいないとも限りません。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『三毛猫ホームズの茶話会』
- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:光文社 光文社文庫
- 発行:2011年
- NDC:913.6(日本文学)推理小説
- ISBN:9784334749422
- ページ
- 登場ニャン物:ホームズ
- 登場動物:-
目次(抜粋)
- 付:〈三毛猫ホームズ〉シリーズ作品リスト