『子猫をお願い』

チョン・ジェウン脚本、前川奈緒著。
『韓国女性が選ぶ最高の韓国映画第一位』に輝いた青春映画の傑作の小説版である。
登場するのは5人の若い女性。
高校時代は仲良しだったが、卒業後、それぞれ別の道を歩みはじめ、友情にも微妙な陰が。
主人公格のテヒは、ごく普通の女の子だ。家族が嫌いで、しかし今は働いているわけでもなく、ボランティアをすることでなんとか自分の居場所を見つけている。
ヘジュは向上心の強い我が儘な娘。
ピリュとオンジョは中国系韓国人の双子で、一番健全でたくましい子達。
最後のジヨンは、波瀾万丈の人生を送っている。おそらく誰よりも才能に恵まれていながら、気の毒な境遇に育ったために社会の底辺に近いところで苦しんでいる。
ティティという子猫が出てくるが、猫の役割は本当にお飾り程度。
それに子猫の扱い方がひどい。幼い子猫を出勤途中で見つけたジヨンは、その辺の穴の中に隠してから仕事に向かう。帰宅するまで子猫は1日中その穴の中にとじこめられるのである。
プレゼントとして箱に入れられリボンをかけられたり。
その後も、可愛がっているという設定のはずなのに私から見ると、生きた子猫というより、ぬいぐるみか何かのように取り扱われるシーンばかりで、読んでいて不快だった。
脚本を小説化したとのことで、小説としての深みも、正直言って今一。
なお、小説化したのは日本人だけど原作の脚本は韓国なので、ここでは猫の小説(海外)に分類しておく。
(2006.10.22)

『子猫をお願い』

『子猫をお願い』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『子猫をお願い』
- 脚本:チョン・ジェウン Jung,Jae Eun
- 著:前川奈緒(まえかわ なお)
- 出版社:竹書房文庫
- 発行:2004年
- NDC: 913.6(日本文学)
- ISBN:481241718X
- 225ページ
- カラー、白黒、口絵、挿絵、イラスト(カット)
- 原書: “Take Care of My Cat ” c2001
- 登場ニャン物:ティティ
- 登場動物: -