ウェルズ『通い猫アルフィーと3匹の教え子』

ウェルズ『通い猫アルフィーと3匹の教え子』

アルフィーシリーズ第8弾。

アルフィーは「通い猫」。拠点はクレア・ジョナサン夫婦の家ですが、他にも「家族」と呼べる家が数軒あり、それらの家に毎日通って暮らしています。家族はもちろん、友人も知人も猫達も、さらにただの近所の人も、周囲全員が幸せであることを、常に祈っている猫です。

ストーリー

マットの転職にともない、ポリーとマットの家族が引っ越してしまった。アルフィーの本宅、クレアとジョナサンの家の真向かいに住んでいた家族で、アルフィーの家族でもあった人たちだ。とうぜん、飼い犬のピクルスも一緒に行ってしまった。アルフィーをパパと慕ってくれていた犬なのに。アルフィーは寂しくてたまらない。

その一方で、ジョージとハナの間に生まれた子猫たちは順調に成長していた。つまり、日増しにやんちゃに、手に負えなくなってきていたのだ。

アルフィーは名案を思いつく。そうだ、子猫の学校を作れば良い。そして子猫たちを、いずれ自分の後釜にすえられるくらいに教育するのだ。

多忙な日々が始まった。子猫たちはちっともいうことを聞かない。一方、ポリーたちの家は空き家のままだ。売るか、誰かに貸すかすべきとはわかっているのに、ポリーもマットもなぜか迷っている。そうこうしているうちに、空き家で放置するのは安全管理上よくないと近所でも問題になり始めた。アルフィーは気が気ではない。

こうなったら仕方ない、空き家に問題がないか、アルフィー自身が、毎日監視しなければ。さっそく中に入ってみると、そこで発見したのは・・・?

感想

アルフィー、ショック!ポリーとマットの家族が、愛犬ピクルスともども引っ越していってしまうなんて。しかも、ハロルドまで失ってしまいました。ハロルドは高齢で、もう長くはない、そんなことはアルフィーだってわかっていたのです。それでも。親しい人々と我が子同然の犬とお別れして、アルフィー、しょげかえってしまいます。

でも、このシリーズ、決してアルフィーを暇にはさせないんですよね。ジョージの子猫たちをなぜかおじいちゃんのアルフィーが進んでお世話。雄猫ってこんなに子猫の面倒をみたっけ?なんて、ヤボな質問は無し。「おじいちゃん」と呼ばれてアルフィーも鼻高々なんですから。

そして、今回も、アルフィーはうぬぼれています。猫も人間も、救えるのは自分だけ。こまっている人も猫も決して放置はしません。猫の頭で必死に考え、綿密な救助計画を練ります。そして今回も一番苦労するのは、どうすれば自分の計画を人間どもに伝えられるか?どのように誘導すれば、人間は自分の狙い通りに動いてくれるか?このプランに最適な人間は誰か?

その最中でも、子猫たちは邪魔をする、思わぬ展開もある、アルフィーは今回も、休む間もなく大活躍です。人の世の「お節介なおばさん」をはるかにしのぐお節介で、ひとり気を病みながら走り回ります。

なんていじらしいアルフィー!

それにしても、なんというか、正直なところ、ちょっぴり違和感を感じてしまうのも事実です。だって、アルフィーは猫でしょう?猫といえば、もとは単独生活動物、群れを嫌う性質でしょう?

ところが、このアルフィーときたら。猫同士だろうと人間だろうと、家族はもちろん、友達も同士も、常にいっしょにいなければならない!毎日のように会って絶え間なく交流して続けなければ、たちまち誰もが意気消沈、不幸せになってしまう。全員、いつも仲良し、いつもいっしょ!それも、あたまかずは多ければ多いほど良い!!みんな参加しろ~!

・・という、強迫観念に犯されているようで、独りが好きな私なんかは、読んでいるとほとんど不気味にすら感じてしまうほどです。これって、私が特別なだけで、ふつうの人間は皆、こんなふうに感じているものなのでしょうか。それともイギリス人がとくにそうだというのでしょうか。私にはわかりません。わかるのは、今回も、アルフィーは他人の世話を焼きっぱなしだったということ。

そしてまた、アルフィーたちの仲間がふえてしまったようです。回を追うごとに、家族同然な仲間がふえていくシリーズです。

※参考⇒まとめ『通い猫アルフィーシリーズ』

ウェルズ『通い猫アルフィーと3匹の教え子』

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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著者について

レイチェル・ウェルズ Rachel Wells

愛猫家。デビュー作『通い猫アルフィーの奇跡』が英紙サンデー・タイムズのベストセラー入りを果す
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『通い猫アルフィーと3匹の教え子』

アルフィーシリーズ第8弾

  • 著:レイチェル・ウェルズ Rachel Wells
  • 訳:中西和美(なかにし かずみ)
  • 出版社:株式会社ハーパーコリンズ・ジャパン ハーパーブックス
  • 発行:2023年
  • NDC:933(英文学)長編小説
  • ISBN:9784596521422
  • 381ページ
  • 原書:”Alfie’s Apprentices” c2021
  • 登場ニャン物:アルフィー、ジョージ、スノーボール、ハナ、タイガー、サンタ、ホリー、ごみばこ、アリー、ネリー、エルビス、ロッキー、サーモン、ジャスパー
  • 登場動物:ピクルス(パグ犬)
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