『トゥー・ブラザーズ』(映画)
なんて人間って傲慢で身勝手で醜いんだろう!
この映画、見ていて恐ろしくなります。
これでもかと見せつけられます。
人間の恐ろしさを、身勝手さを、傲慢さを、醜さを。
人間って、どこまで強欲なんだろう。
人間って、どこまで残酷なんだろう。
人間って、まったく、どこまで愚かなんだろう!
ホント、嫌になります。
それに引き換え、動物たちの純粋なこと。
主人公はトラの兄弟です。狂暴といわれる大型肉食獣です。
けれども、この映画を見れば、誰でも思うでしょう。狂暴で獰猛なのはトラではない、断じてトラの方ではない、人間の方が、はるかにはるかに恐ろしい、と。
舞台は、植民地時代のカンボジア・アンコール。イギリス人の男が、村人を雇って、ジャングルに眠る寺院から仏像を盗掘していました。
その廃墟にはトラ一家が住んでいました。お父さんトラ、お母さんトラ、2頭の愛らしい子トラたち。
イギリス男は著名な猛獣ハンターでもありました。お父さんトラは撃ち殺されてしまいます。
お母さんトラは子どもをくわえて逃げようとしますが、一度に1頭しか運べません。残された1頭は男に発見され、のちにサーカス団へ。もう1頭の子トラも、お母さんトラとはぐれたところを偶然白人の男の子に見つけられ、のちに動物園へ。
こうして2頭は別々に、人の手によって育てられます。
そして、なんたる運命のいたずらか、2頭は人間たちの見世物として、命がけの戦いを強いられることになってしまいます。
*****
動物たちのいちばんの理解者は、ほかならぬハンターのイギリス人と、それから、幼い白人の男の子でした。
この二人だけが、トラたちを理解しました。
ほかの人間たちは、私にいわせれば全員が愚か者、屑です。
物語の2/3くらいまでは、つらく苦しい場面の連続です。トラたちが可愛そうで、見ていられません。こんなにも美しい動物なのに。
でも、どうぞ我慢して見てください。後半でちょっと痛快になり、最後はほっと救われます。すてきなエンディングです。
2004年度の作品ですが、変なCGやSFXはいっさい使っていません。大昔のディズニー映画のように、本物の動物たちが、そのままの姿で登場します。でも画像は2004年度作品らしく、鮮明で美しく、うれしくなってしまいます。これぞ本来の、本物の動物映画だと思います。こんな映画、21世紀の今でも作れるんですね。すばらしい。
動物好きな方には、ぜひ見ていただきたい作品です。とても考えさせられる名画です。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『トゥー・ブラザーズ』(映画)
- 監督: ジャン=ジャック・アノー
- 製作: フランス、イギリス 2004年
- 出演者: ガイ・ピアース、フレディー・ハイモア、ジャン=クロード・ドレフュス、フィリピーヌ・ルロワ=ボーリュー
- 脚本: ジャン=ジャック・アノー、アラン・ゴダール
- 本編収録時間:110分0秒
- DVD発売日:2005/02/25
- 登場ニャン物:クマル、サンガ(以上トラ)
- 登場動物:ジャングルの動物たち多数、犬
【推薦:まゆ様】
※あらすじ※
1920年代、カンボジアのジャングルの奥地にある寺院跡で、2頭の兄弟トラが生まれ、親子で仲良く暮らしていたが、仏像を求めて盗掘にやって来たイギリス人冒険家によって離ればなれになってしまう。
その後、お互いに数奇な運命をたどりながらも再会して、一緒に生まれたジャングルに帰るというものです。
DVDを買って見たんだけど、人間の欲望のために多くの野生動物が犠牲になってきたんだろうなぁ~と哀しくなるけど、仔トラのかわいさとラストシーンで救われます!
同じ監督の「子熊物語」もテレビで見たことがあるけど、子熊がかわいいんだよねー(笑)
野生動物たちの強さを感じました!
(2005.11.30)
*サイトリニューアル前にいただいておりましたコメントを、管理人が再投稿させていただきました。