パム先生の『ねこみゅにけーしょん 第1巻 ねこごころ編』

パム先生は、猫の行動心理コンサルタント。
猫との生活を楽しむためのヒントが盛り沢山な本。
猫となかよく暮らすヒケツがひとつあります。猫がときどき見せる問題行動は、実は飼い主の間違いを指摘している行動だということを分かってあげることです。(中略)自分の猫は意地が悪いとか、わがままだとかいう考えはやめ、猫が伝えようとしていることに目を向ければ、トラブルが解決できる可能性は高くなります。
(p.14)
・・・猫が問題行動をしてしまう理由は、ほとんど飼い主にあるのです。
(p.15)
だから、「猫の行動心理コンサルタント」である著者の仕事はもっぱら、猫と飼い主との間の「通訳」だという。
最近、拙サイトの掲示板に、「いい猫がほしい」という趣旨の書き込みがあった。
私をはじめ常連さん達が心を込めて、「最初から“いい猫”なんていない、あなたが心から愛して世話してはじめて、その猫は“いい猫”になり、やがて“最上最高の猫”になるのだ」という意味のレスをして、その人はいかにも分かってくれたかのような書き込みを残したのだが、数日後にはHNを変えてまた「どの品種がいい猫か」なんてことを聞いてきた。
このような人は、猫を車や携帯電話のような“商品”と同列に見ているのではないかと思えて心配だ。
車なら、スペックや価格を調べれば、(その人にとって)いい車かどうかわかるだろうけれど、生き物である猫ではそうはいかない。
むしろ“いい猫”であることを押しつけ、あるいは期待して、その猫の真実を理解することを怠ったら、その猫はどんどん悪い猫になっていくだろう。
やがて手も付けられない悪猫になるかもしれない。
しかしもしそうなったとしても、そんな猫にしたのはすべて人間側の責任だ。
更にいえば、「手も付けられない悪」という評価も、あくまで人間側だけの価値判断である。
生物としてはしごく全うなことをしているだけである。
この本は、とてもわかりやすく、かみ砕いて書いてあって、お奨めである。
すでに猫と暮らしている人はもちろん、これから猫を迎えようという方にとっても、示唆の多い内容だと思う。
また文章もやさしいから、小学生も高学年になれば読めるのではないだろうか。
大人はもちろんだけど、子供の柔らかい頭に、猫はおもちゃやゲームとは違う心のある生き物だと理解してもらうことは非常に重要だと思うので、若い人たちもぜひ手にとってみてほしい。
『第2巻ねこライフ編』もあります。あわせてどうぞ。
(2010.2.14.)

パム先生の『ねこみゅにけーしょん 第1巻 ねこごころ編』

猫のトレーニングとは、猫自身のためのもの。人間を喜ばせるために芸をしつけるような動物ではない。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
猫の行動心理コンサルタント・パム先生の『ねこみゅにけーしょん 第1巻 ねこごころ編』
- 著:パム・ジョンソン Pam Johnson
- 訳:青木多香子(あおき たかこ)
- 出版社:中央アート出版社
- 発行:2003年
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
- ISBN:481360174X 9784813601746
- 191ページ
- 原書:”Twisted Whiskers” c1994
- 登場ニャン物:多数
- 登場動物:-
目次(抜粋)
はじめに
ねことなかよく
「問題行動」の理由は…/ネガティブ…トレーニング/他
ねこのことば
「におい」がねこのことば/猫にさわる、猫がさわる/他
ねことあそぶ
猫といっしょにあそぼう/いっしょに遊ぶタイプのおもちゃ/他
ねことなかま
猫は仲間が必要?/2匹目の猫を入れるには/他
ねことひと
猫と赤ちゃん/トキソプラズマ症/他
ねこのこうげき
猫の請うべきの理由/なわばりを守るための攻撃/他
ねこのびょうき
病気やケガによる攻撃/猫の歯磨き/他
ねこのストレス
猫は変化を好まない/ストレスの原因をさがそう/他
ねこのゆううつ
猫がゆうつになる?/ゆうつな猫の対処法
参考資料