ジョンソン『ネコのないしょ話』
副題:『ネコごころがわかる13の物語』。
パム・ジョンソン女史はネコの行動心理コンサルタントである。テレビやラジオでも活躍中の女性だそうだ。
この本には、女史が扱った‘問題のある猫達’とその治療について書いてある。突然飼い主を攻撃するようになったネコ、紙に異常に執着するネコ、粗相が止まらないネコ、ストレスによる脱毛でほとんど裸になってしまったネコ、等々。その他、ネコの里親探しを依頼されたり、離婚予定の夫婦のネコ親権について判断を求められたり、というような、もっぱら人間サイドの話もある。
本を読んで正直な感想は・・・なんてアメリカ人っておめでたい人種なんだろう、でした(ごめんなさい)。私からみれば、どうしてこの程度の事でネコ行動心理コンサルタントを呼びつけないとならないのかと、その方が不思議だ。
例えば、今まで何年も穏やかだったネコがいきなり攻撃してきた。
その理由は飼い主なら簡単に推測できてしかるべきではないか?
ネコが最も攻撃的になる瞬間、それは、見知らぬネコが縄張りに侵入したとき、というのが、まず考えられる第一理由ではないか。
それを、ただあわてふためいてベッドルームに逃げ込んで愛猫から隠れ、ネコ行動心理コンサルタントを電話で呼び出しその到着をひたすら待つという心境が・・・私なら、知らない人を呼んでネコがますます興奮することのほうを恐れるけれど。
それ以前に、突然攻撃してきたのは何か理由があるはずだから、怪我したのだろうかとか、病気だろうかとか、そういう事を心配して、ジャンパー+手袋で重装備して、まず愛猫を捕まえて調べることから始めるけれど。
この話の結末は、最初の数行を読んで私が推測したとおり、見知らぬ猫の侵入が原因だった。
が、これほど気楽に専門家に相談するお国柄だからこそ、猫行動心理コンサルタントという職業が立派に成り立っているのだろう。アメリカ人にとって精神分析医はかつての神父や牧師ほどに身近な存在だそうだし、だから愛猫の問題行動についても、すぐ心理学者に相談しなければと思うのだろう。
内容的には非常にやさしく、さらっと読める。特殊なケースも多くて、どれほど日本の飼い主に役立つかどうかは今ひとつ疑問ではあるが、猫の問題行動にはいずれも理由があって猫の視点に立ってよく見れば思いがけず簡単に解決できる場合が多い、ということはよく学べると思う。
(2004.01.04)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ネコのないしょ話』
ネコごころがわかる13の物語
- 著:パム・ジョンソン Pam Johnson
- 訳:青木多香子(あおき たかこ)
- 出版社:中央アート出版社
- 発行:2002年
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
- ISBN:4813600220 9784813600220
- 254ページ
- 原書:”Hiss and Tell” c1996
- 登場ニャン物:多数
- 登場動物:-
目次(抜粋)
はじめに
第1話 反乱―ある日、突然凶暴になった♂ティキ
第2話 きずな―♂ダンサーとの出会いから別れまで
第3話 紙―♀ペネローペのストレス解消法
第4話 おもちゃ―♀ウィンストンが新しいネコを受け入れられないわけ
第5話 離婚―♀ミスティは、夫婦どちらのもの?
第6話 嫉妬―飼い主の恋人と同居をはじめた♂ボンサイ
第7話 匂い―狩の名手♀スナグルズの宝箱
第8話 日曜日―週に一日だけ人(ネコ)が変わる♂マンボ・キング
第9話 贈り物―優しい♀キャシーがくれた最後の贈り物
第10話 スプレイ―♂フレディーは何でもお見通し
第11話 脱毛症―どんどん毛がぬけて裸になった♂セドナ
第12話 壁―壁をよじのぼる♂ラルフィー
第13話 泥棒―♀サブリナを脅かす黒い影