小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

 

副題:『ヒトとネコのしあわせ関係』。

1994年発行の本ですから、ちょっと古いです。とくに、当時の猫達はまだ外出自由な飼い方がされることが多く、著者もそれを認めているかのような文章に古さを感じます。

また、ペット関連ビジネスの市場規模が4,000億円、というのも、今から見ればかわいい話で、2018年度は1兆5,422億円(見込み額)、2019年の予想はさらに増えて1兆5.629億円にもなるとか(矢野経済研究所)。

が、それら以外は、今読んでも納得の、とても良い猫解説書となっています。さすがヒューマン・アニマル・ボンドに関する国際シンポジウムを日本で開催するような方です。

とくに「第三章 人の心を穏やかにさせる猫の大効用」は、力が入っていると思います。第三章に集められた文章のタイトルをご覧ください。

  • 人が動物たちに触れたいと思う理由(ワケ)
  • 猫がいると心が和むのはなぜ
  • 猫のぬくもりが子どもたちの心を成長させる
  • 猫がいると家族が円満になる
  • 猫は人間関係を豊かにする
  • 猫のユーモアは痛みにも効く!?
  • 猫と暮らすと健康になる
  • 猫のやさしい刺激は失語症をも治す
  • ペットお断りのマンションがなくなる日
小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

猫が人間にどれほど良い影響を与えるか、44ページにわたって力説されています。それも単なる感情論ではなく、理論的に、根拠をあげながら。人がなぜ猫を暮らすべきか、なぜ一緒に暮らしたくなるのか。誰でも納得してしまうような内容です。

でもこの本の中で、私にとって一番印象的だったのは、交通事故で大怪我をした(仮称)グレイちゃんのエピソードです。

ある日、瀕死の猫が病院にかつぎこまれました。ショック状態で、右眼が飛び出していて、鼻孔や口腔から出血があり、下顎の骨も砕けて複雑骨折。連れてきたのは、いつも外猫の面倒を見ているご婦人。自分の猫でもないのに、血だらけの猫を抱きかかえて「できるだけのことは、してやってください」と必死です。その勇気と優しい心情に、先生も全力で答えます。その一方で、飼い猫らしいその猫の本来の飼い主探しもしますが、なかなか現れません。

約1か月後。ようやく飼い主が現れました。名乗りにこんなに時間がかかったのもやむを得ない事情があったからでした。

先生はこう書かれています。

手当てがあと一時間遅れたら、グレイはショックと出血多量で、おそらく絶命していたと想像されます。また、飼い主の方が連れてこられたのでしたら、その状態から判断して、私は「安楽死」を勧めていたかもしれません。血だらけの失神状態の猫を運び込んだNさんの情熱と、飼い主不明という二つの要素が、結果的に「安楽死」の処置を回避させたのでした。
page73-74

グレイちゃんが大怪我をしてしまったのは不運でしたが、そのときたまたま迷子中で、たままた良い人に、たまたま時間内に発見されたため、九死に一生を得ることができたのでした。なんと不思議な運命のめぐりあわせなのでしょうか!

猫と暮らしている人には、お勧めの一冊です。今猫と暮らしていない人でも、グレイちゃんのような例もありますから、どうぞ読んで猫知識を深めておいてください。そして、もし万が一、グレイちゃんのような猫に出会ってしまったら、どうぞ助けてあげてください。この本が書かれた時代と違って、今は「クラウドファンディング」という資金調達法もあります。実際READYFORその他クラウドファンディングで、保護した猫の治療費を集めている人は少なくなく、その多くが目的額を達成できているようです。ですから、迷わず、助けてあげてください。

小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』
ヒトとネコのしあわせ関係

  • 著:小暮規夫(こぐれ のりお)
  • 出版社:PHP研究所
  • 発行:1994年
  • NDC:489.53(哺乳類・ネコ科)
  • ISBN:4569543766 9784569543765
  • 205ページ
  • モノクロ挿絵、イラスト(カット)
  • 登場ニャン物:多数
  • 登場動物:

 

目次(抜粋)

はじめに

第一章 人はいかに猫を愛してきたか
人はなぜ猫と暮らすようになttの科
なぜ猫は人に愛されてきたのか
ほか

第二章 こんな猫に誰がした
美食・偏食、間違いだらけの猫の食事
猫の肥満・成人病が増えている!
ほか

第三章 人の心を穏やかにさせる猫の大効用
人が動物達に触れたいと思う理由(ワケ)
猫がいると心がなごむのはなぜ
ほか

第四章 猫と十倍楽しく暮らす方法
猫と人が幸せい暮らすために
猫とグッドコミュニケーションする方法
ほか

著者について

小暮規夫(こぐれ のりお)

獣医学博士。猫に関する著書に、『ペットドクターがアドバイス ねこなんでも110番』、共著・執筆協力に『猫の病気ハンドブック』、『ネコの生活学』など多数。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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