西江雅之 『わたしは猫になりたかった “裸足の文化人類学者”半生記』

猫は出て来ません。
ネコは出てきません。
この学者先生がやんちゃな子供時代、「高いところから落ちてもスクッと立つ」野良猫の動きに憧れ、飛び降りる練習をしたという記述があるだけです。
この本は、副題の通り、なんとも自由奔放で羨ましい幼年期から、恵まれた頭脳と理解のある周囲の人々に囲まれ好き放題しまくった青年期、そして現在の職業を得るまでの西江氏の半生記をつづった自叙伝です。
外遊びのこと、アフリカ縦断の旅、語学のことなど、ごったまぜに色々書いてありますが、筆者の目はご自身のみに向けられています。
自分が何をしたかということだけが綴られています。
書かれた内容からは、周囲の景色が見えないのが残念です。
アフリカ縦断は1959年という歴史的に見ても大変重要な時期に行われたのですが、その旅の話でさえ、アフリカの様子などはさっぱりわからない書き方がされています(翌1960年はアフリカの年といわれるほど多くの国が独立した)。
ましてやネコのことなんかまるで眼中にないようで・・・
西江雅之氏ご自身に興味がある方がお読み下さい。
私のように猫が出てくるとだまされて買うとがっかりすることになります。
(2003.6.14)

西江雅之 『わたしは猫になりたかった “裸足の文化人類学者”半生記』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『わたしは猫になりたかった』
“裸足の文化人類学者”半生記
- 著:西江雅之(にしえ まさゆき)
- 出版社:新潮社OH文庫
- 発行:2002年
- NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
- ISBN:410290154X 9784102901540
- 250ページ
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:-
目次(抜粋)
どこから来てどこへ行くのやら
焼け野原に鐘が鳴る
野良猫になった少年
小さな出会い、大きな出会い
猫少年、オリンピックをめざす
驚異の“二重時間割”編み出す
芸術論は新宿飲み屋街で
シュールレアリスムの女たち
たくましき夜の芸術家
アフリカ大陸縦断隊結成される
アフリカへの道は船酔いの旅
いざ行かん原野の果てまで
波乱万丈のソマリア単独行
砂漠を越え、ジブチへ
白いシーツと寂しい夜
ランボーが弱音を吐いた街
旅の終りの道づれたち
マージャン知らずの学生時代
学問好きの野良猫教師生活
“先立つもの”を追い越して
惹かれ続けてテクテクと