小原秀雄『ネコはなぜ夜中に集会をひらくか』
副題:イヌとネコの行動学入門。
私が持っているのは1986年発行の単行本だが、その後文庫化もされた著作だ。
最初の135ページほどがネコについて、そして後半100ページほどがイヌについて書かれている。
・見つめられるのがこわいー目をそらす習性
・雨のまえぶれ?ーネコの毛づくろい
・ネコは私たちをどう見ているかーネコにとっての原風景
・排泄のあとに砂をかけるーそのふたつの意義
・背を丸め毛を逆立ててフーッーネコの威嚇姿勢
・マタタビはなぜネコにきくかー不思議な活性剤
・ネコはなぜ家畜になったかーネコの先祖
その他、その他。
実際にネコと暮らしている人が読めば、その通りと思ったり、そういう意味だったのかと納得したり、楽しいだろうと思う。
今ネコと暮らしていなくても、動物好きな人なら、面白く読めるのではないだろうか。
発行されたのが1986年と少し古く、遺伝学など今ほど解明されていなかった頃なので、ネコやイヌの先祖についてとか三毛猫の雄がいない理由についてなどは、今読めば物足りない気がするかもしれないけれど、逆に考えれば、遺伝子ゲノムが解読されていなくても小原氏はちゃんと推測されていたわけだ。
イヌについて書かれた部分も、なるほどと思うところが多い。イヌ全体について、イヌとはどんな動物でどのように人間と関わってきたかとか、オオカミとの対比などもあって、面白かった。
私が好きなのは、オオカミや野生の犬族、それから、逞しくて忠実な、いわゆる犬らしい犬たちである。チャラチャラした小型愛玩犬には全く興味がない、というより、ほとんど嫌悪感だ。人間が遺伝子操作して、それもその種の生存により有利な方向ではなく、生存上より不利により有害に作り上げた製品のようにみえてならないからだ。トリミングしないと皮膚病になる犬や帝王切開しないと出産できない犬なんて!
この本には、「かわいいワンちゃんのお話」なんか出てこないから良い。また、犬より猫に多くのページを割いている。読んでいてなんとなく、小原氏の好みや興味の傾向が私と似ているように思えてしまった。
半分近くが犬の話なので、猫サイトとしてはお勧め度満点にはできないけれど・・・この次は猫だけの本を書いてください。それも、できれば野生の猫たちの。
(2007.11.17)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ネコはなぜ夜中に集会をひらくか』
イヌとネコの行動学入門
- 著:小原秀雄(おばら ひでお)
- 出版社:花曜社
- 発行:1986年
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
- ISBN:4873460638
- 237ページ
目次(抜粋)
- はじめに
- I ネコの世界へのアプローチ
- 見つめられるのがこわい――目をそらす習性
- ネコの目のように変わりやすい――ネコの目のしくみ
- その他
- II イヌのせかいの解剖学
- 飼い主に忠実なブン――群れ生活のなごり
- イヌはなぜ人に慣れるか――インプリンティングの重要さ
- その他
- おわりに