ビートたけし『ゴンちゃん、またね。』
冴えない男と愛犬の、笑いと涙の物語。
みんな、一人で生れて一人で死ぬ。だから今は一緒にいよう。帯
なんて帯にはかいてありますし、タイトルもいかにもそれっぽいので、ゴンちゃんという犬が死んでしまう話かと思って開いたのです。私の愛犬の名も「ゴン」ですから、ちょっと勇気がいったのです。
ですが、【以下、ネタバレ注意!】。
ゴンちゃん、死にません!だから安心してお読みください。
作家志望の男の話です。いくら書いても芽が出ず、彼女にも捨てられ、今は生活費のための「テープ起こし」という仕事にあけくれる毎日。報われない日々のなぐさめに、飼い始めた柴犬のゴン。かわいいのなんのって。
俺はお前と散歩がしたくて生きてんのかなあ、ゴンちゃんお前どう思う?
page55
なんて思うくらい、ゴンちゃんと寄り添って生きていたのに。
ほんのちょっと目を離したスキに、その大事なゴンちゃんが行方不明になってしまいます。
それからは毎日、ゴンちゃんを探す日々。探して、探して、探し歩いて、そして・・・
淡々とした語り口がかえって、涙も笑いも誘う作品です。ユニークな色使いの絵も楽しい本です。児童書ですし、あっという間に読めちゃいますが、暖かい気持ちになれます。
(でも、ビートたけし様、45ページのこの絵・・・向かって右側のどうぶつ、もしかしてこれ、猫、ですか・・・?)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ゴンちゃん、またね。』
- 著:ビートたけし
- 出版社:株式会社文藝春秋
- 発行:2048年
- NDC:913.6(文学、小説)児童書
- ISBN:9784163909004
- 104ページ
- カラー
- 初出:「週刊文春」2018年3月29日号
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:犬