小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

 

副題:『動物たちの不思議な食生活』。

本の題名は「ライオンはなぜか・・・」ですが、内容的には、様々な動物たち生態について語った、動物雑学集みたいな本です。

下手に内容について書くよりも、目次をご覧いただく方がわかりやすいと思うので、以下に書き写す。

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第1章 かしこい餌の探し方

チーターだってムダな狩りはしない
ナナホシテントウムシのかしこい餌探し
マルハナバチは密の出る花を見分けて訪れる
動物たちはどのくらいの周期で餌をとるのか
かしこいシジュウカラは餌場の見切りも早い?

第2章 かしこい餌の選び方

とってはならない餌もある
ワタリガニにとってどの大きさの餌がいいか
ヘラジカも食い合わせを考えている
イギリスのシジュウカラは牛乳泥棒となった
かしこいヤツは餌も選べば取り方も違う

第3章 力を合わせて効率アップ

集中攻撃で大物をしとめるサシガメ
ユリカモメはなぜ群れで魚をとるのか
ポジションで利益に差がでる狩り集団
ライオンはなぜか一頭では狩りをしない
大家族、ミツバチの餌集め

第4章 あやしい魅惑で餌をだます

釣り糸をたれて釣りをするヒカリツノムシ
餌で餌を釣るアンコウ
色仕掛けでオスを捕食するホタルのメス
羊の皮を着て羊を食う狼、クサカゲロウ

第5章 特殊技能の持ち主たち

キノコを栽培するハキリアリ
オフクロの味を伝える女王アリ
道具を使う動物たち
三万個もの種子を、貯蔵するハイイロホシガラス
左右の目で別々に貯蔵場所を記憶するハシブトガラ
おかしな人間の食糧事情

第6章 敵の目をごまかすあの手この手

葉がくれの術の名人たちは彼らだ
体色を変えるかくれんぼの名人たちは彼らだ
枯葉になりすますコノハウオの術
こわもてを装う甲虫たち-カナブン

第7章 生き抜くための対捕食者戦術

敵を悩ませる必死の対抗戦術-ガ・トゲウオ・アリ
目玉でおどして身を守る-ガ
おとりで捕食者をごまかす-チョウチョウウオ・トカゲ
群れて捕食者の目を錯乱する-ムクドリ・アンコビー
みんなでいれば安全-モリバト・メキシコヒメドリ
命をかけたミツバチの巣攻防

第8章 しのぎ合う動物たち

動物はなぜ多産なのか
どんな動物が勝ちのこるのか
利己主義者が勝つ動物の世界
お人好しは生きのこりにくい

小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

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このように、本で取り扱われている生き物は、鳥や虫、魚など多岐にわたり、哺乳類はむしろ少ないのです。
第1章の副題にチーターが出ていますけれど、内容的にはほとんど言及が無く、登場するネコ科といえば、本のタイトルにもなっているライオンが5ページちょっと書かれているくらい。

なので、ライオンについてではなく、生物一般についての知識を得たい人に、この本をおすすめします。
動物たちの意表をついた戦術に驚かされ、必死な知恵に感心させられ、生きることの難しさ大変さを実感することができるでしょう。

(2008.6.10.)

小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

小原嘉明『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『ライオンはなぜか一頭では狩りをしない』
動物たちの不思議な食生活

  • 著:小原嘉明(おばら よしあき)
  • 出版社:PHP研究所
  • 発行:1990年
  • NDC:480(動物学)
  • ISBN:456952947X 9784569529479
  • 205ページ
  • 登場ニャン物:ライオン、チーター、ほか
  • 登場動物:各種多数

 

著者について

小原嘉明(おばら よしあき)

福島県に生まれる。東京農工大学卒業後、九州大学理学部生物学教室、ケンブリッジ大学動物学教室、ワイカト大学(ニュージーランド)にて研修。現在、東京農工大学教授、理学博士。
主な著書に『モンシロチョウの結婚指輪』(社会思想社)、『搾取する性とされる性』(海鳴社)、『神経行動学』共著(培風館)、『入門動物の行動』(岩波書店)、『オスとメス 生殖と求愛行動』(岩波ジュニア新書)などがある。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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