『ペットフードの開発』

『ペットフードの開発』

ペットフード業界って、どうなっているの?

この本を手にとって第一印象はなんといっても「字が小っさ!」

なぜこんな細かい印刷にしたのかと恨みたくなるほど小さい。表などはよいとして、本文はもう少し大きな字にしてほしかったなあ。これでは老眼の人や弱視の人はもちろん、健常者だって疲れている時など読む気力を失わされかねませんよ。

で、内容は。

ペットフード産業に実際に携わっている専門家や有識者が、それぞれの専門分野について、専門的に記述したものを集めたものである。
つまり、字が小さい上に内容が堅い(汗)。

なので、一般飼い主向けとはおせじにも言えない。
しかし興味のある人にとっては、おそらく非常に有意義な本。

2001年に執筆されたものだから内容的には少し古い点もないわけではないが(たとえば動物愛護法はその後改訂されている)、今でも大筋の流れは変わらないと思う。ペットフードの法的規制等については、日本では今年になってやっと少し動きが見られるようになった程度。

それにしても、ペットフードの歴史が案外浅いことに今更ながら驚く。

最初の「ペットフード」は「犬用ビスケット」だったそうで、1860年イギリスで製造販売された。缶詰ドッグフードの発売はその60年後。最初のドライドッグフードが発売されたのは、1927年、今でも馴染みのある「ゲインズ」だそうだ。
日本国内では、1960年に「ビタワン」が発売されたのが最初。(注)

キャットフードの歴史はもっと浅い。
1950年代にスターキスト社が缶詰を発売したのが最初だそうだ。日本国内での販売は1970年からという。
生まれたときから「ミミー」の猫缶があったような気がしていたけど、勘違いだったらしい。

そのほか、ペットフードの製造や販売に関する実際的で実践的な話がいろいろ書いてある。
読んでいて楽しいものとは言い難いが、興味深くはある。

(2008.12.6.)

【注】日本初のドッグフード販売は、1937(昭和12)年、日本水産が発売した「ヒノマル印ドッグフード」が正しいようです。川西玲子『戦時下の日本犬』ISBN:9784909560230 page67 にもその旨書いてありますし、こちら↓にすばらしい証左資料も公開されています。

「帝国ノ犬達」>愛犬よ、健やかに https://ameblo.jp/wa500/entry-10276917454.html

発売日のチラシを見る限り、形態は缶詰だったようです。

『ペットフードの開発』
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『ペットフードの開発』

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

『ペットフードの開発』
CMCテクニカルライブラリー223

  • 監修:本好茂一(もとよし しげかつ)
  • 出版社:シーエムシー出版
  • 発行:2001年3月 初版 第1刷発行、2006年5月 普及版 第1刷発行
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
  • ISBN:4882318857 9784882318859
  • 256ページ
  • モノクロ

目次(抜粋)

【第1編 総論編】
第1章 ペットフードの歴史と変遷(大木富雄)
第2章 ペットフードの分類(金子武生)
第3章 ペットフードの栄養基準(阿部又信)
第4章 ペットフードの表示について(大野和彦)

【第2編 応用開発編】
第1章 犬猫の健康と必須脂肪酸(大島誠之助)
第2章 微量ミネラル原料(堀田三郎)
第3章 オリゴ糖と腸内細菌(田代靖人)
第4章 茶抽出エキスの歯周病予防効果(磯貝恵美子、磯貝浩)
第5章 肥満と疾病とフード(古瀬充宏)
第6章 高齢動物の栄養(朱宮正剛)
第7章 老齢犬における栄養と腸内細菌叢(深田恒夫)
第8章 高齢化と疾病とフード(内野富弥)
第9章 療法食としてのペットフード開発の動向(磯部禎夫)
第10章 ペットフードの添加物(大木富雄)
第11章 畜産副生物のペットフードへの利用(高畠能久)
第12章 ペットフード製造機器の動向について(中村州夫)

【第3編 市場編】
第3編 市場編

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『ペットフードの開発』

6.6

動物度

7.5/10

読みやすさ

4.5/10

情報度

8.5/10

猫好きさんへお勧め度

6.0/10

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