たらさわみち『MF(マイフレンド)動物病院日誌』全18巻

たらさわみち『MF(マイフレンド)動物病院日誌』

そこは小さいけど腕は確かな動物病院。

院長は久間武春、通称クマ先生。現在は診療は若手にまかせ、ご自身はハリ治療などを担当しているが、手が足りないときは手術等も手伝う。

聖堂勇馬獣医師、通称ウマ先生。MF動物病院の中核で、院長はじめ皆の信任は厚く、外科手術の腕はピカ一。いい加減な飼い主には厳しく叱ることから、恐がられることも。

高円寺達也、通称コオ先生は若手獣医師。最初は頼りなく見えたが、ビシバシ鍛えられてぐんぐん成長。ジャニーズ系のイケメンで明るいムードメーカーだが時々激しく落ち込む。

聖堂羊子はAHT(動物看護助手)、通称ヒツジ。受付から事務や手術補助まで、ひとりでテキパキと何でもこなし、新しいことにも積極的に取り組む。病院に無くてならぬ存在。このシリーズの主人公。

ほかに、医療スタッフではないが、古賀イネ子さんというお手伝いさんがいる。炊事や洗濯、庭仕事などの家事を一手に引き受けている。

病院のペットは、シェトランドシープドッグのシェルと、白黒鉢割れの猫さん。

たらさわみち『MF(マイフレンド)動物病院日誌』

あらすじ

羊子は優秀なAHT。羊子の勤める動物病院の院長のクマ先生はもうかなりの御歳だし、新しい獣医師が来ることになった。

クマ先生が選んだのは口の悪いぶっきら棒な男、聖堂勇馬(ウマ先生)。

羊子と勇馬は最初こそ反発しあうが、お互いに惹かれ始めるまで時間はかからなかった。やがて二人は結婚し、MF動物病院は地域でも評判の病院になる。

たらさわみち『MF(マイフレンド)動物病院日誌』
最初は反発しあうが・・・

クマ先生はハリ治療で優しく動物達をいたわり、ウマ先生は超一流の外科技術で多くの動物達を救い、コオ先生は優男な外見に似合わず熱血獣医師で走り回り、そして羊子は、病院内での治療だけでなく、夜間病院の設立や学校でのボランティア活動、飼い主の犬しつけ教室など、新しい取り組みにも積極的に挑戦して動物愛護の輪を広げていく。

たらさわみち『MF(マイフレンド)動物病院日誌』
コオ先生の初登場シーン

感想

ごく最初の方は、動物病院を舞台にした恋愛漫画的要素がけっこう強いのですが、すぐに良質な動物愛護マンガになります。私はこの作品はネット中古書店で全18巻をまとめて大人買いしたのですけれど、2日かけての一気読みでした。

どの話も最後はハッピーエンドです。場所が動物病院ですからペットの死を扱う話もけっこう出てくるのですが、どの子も愛されて、人間側もやれるだけのことはやって、静かに最期を迎えられる子がほとんど。理不尽な死とか、虐待死など可哀想な死はでてきません。ちょっときれいすぎるかなとは正直思いまます。ペットの世界って、こんな恵まれた子ばかりじゃない、動物漫画なら、もっと捨て猫や虐待犬の悲惨さなども描いてほしかったなと。これは私の勝手な思いです。でも一般的には、この作品に描かれているような、優しさと暖かさにあふれた作品の方が受けるのでしょうね・・・。

いわゆる「猫ブーム」や「ネコノミクス」以前の作品なせいか、犬の話が大半を占めます。畜患には当然ながら猫も来ますが、猫が中心の話は少なく、それが少々残念。そもそも病院の飼い猫である白黒鉢割れちゃん、よく羊子に抱かれて登場はするのですけれど、なんというか、添え物的な扱いで、その名前さえ、・・名前を呼んでいるシーンなんてどこかにあったかな?思い出せない・・・って程度なんです。病院の飼い犬のシェルは頻繁に登場して名前も連呼されて活躍するんですけれどね。まして犬猫以外の動物は、野生のタヌキ・ウサギ・インコ・ヘビ等が登場するものの、文庫版で18巻もある長編としては少なすぎるイメージでした。

でも、そんな不満は私が超猫派で野生動物も大好きだという、個人的な不満に過ぎません。全体としては優れた動物愛護マンガだと思います。しかも巻が進むほど動物愛護精神も高まってきているようで、これは著者もずいぶん勉強されているんだろうなあとこちらまで嬉しくなるような良い話ばかりとなります。

たらさわみち『MF(マイフレンド)動物病院日誌』

中でもたとえば、狂犬病が日本に再上陸した場合の羊子の妄想シミュレーション等はすばらしいですね。新型コロナのような致死率の低い病気でもこんなにアタフタしちゃっているのに、狂犬病のような、発症したら致死率100パーセントなんて感染症が日本に蔓延したら・・・考えただけで恐ろしい!ペットの飼い主は全員、狂犬病の怖さ理解し予防するための正しい知識を持たなければいけないんです。こういう動物マンガは啓蒙に大変役立ってくれると思います。

女性読者がターゲットとおもわれる作品ですが、男性でも十分楽しめると思います。動物好きな方はぜひ手に取ってみてください。

たらさわみち『MF(マイフレンド)動物病院日誌』

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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『MF(マイフレンド)動物病院日誌』全18巻

My friend Animal hospital diary

  • 著:たらさわみち
  • 出版社:株式会社少年画報社 ねこぱんち文庫
  • 発行:2007年~
  • 初出:1993年MAY6月号~2006年MAY1月号、ほか
  • NDC:726(マンガ、絵本)
  • ISBN:9784785947019(第1巻)
  • 登場ニャン物:多数
  • 登場動物:多数の犬たち、インコ、アライグマ、ほか
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