赤川次郎『三毛猫ホームズの騎士道』
ドイツの古城に飛んだホームズ一行。
警視庁に来たボディーガード件事件捜査の依頼。
捜査一課刑事の片山義太郎が任命されるのは良いとして、どうして、妹の晴美や猫のホームズ、さらに晴美の自称恋人・目黒署石津刑事まで、一緒について来るんだ?
場所は中世の城の中。
一般に、城には2種類ある。王侯貴族が贅沢に住むためのきらびやかな宮殿と、敵を防ぎ攻撃するための城塞と。
この城は、城塞として建てられたものだった。
だからきわめて頑丈で、陰気臭く、そして周囲にはお決まりの、深い掘り。
掘りに溜まっているのは、水ではなく、泥土。いわば底なし沼状態。
そんな、中世の古城に、ホームズ一行と資産家家族が閉じ込められた!
たったひとつの出入り口、跳ね橋が落とされて、誰も出られない。
古い城だから電話もない(まだ携帯の普及しない昭和ですからね)。
そんな密室、いえ、密城状態の中で、一人、また一人と殺される・・・
この一冊は、ホームズシリーズの中でも私のお気に入りのひとつ。
ドイツは中世の古城という、非日常的な設定。
登場人物は日本人ばかりだが、多少は(笑)異国情緒もただよう。
また、ホームズのボキャブラリーも、今までのニャーン、ニャン、ギャー、ギャオの4種類から、ニャーゴ、ニャーオも増えて(笑)、ますます冴えわたる!の、だけど、
今回は登場時間が少なめなのが残念。
せっかく、日本の猫が、はるばるドイツまでやってきたのだから、もっと大活躍して、さらにドイツ猫友とかも作ってほしかったなあ。
なお、石津はとうとうホームズを「ホームズさん」とさん付けで呼び始める(笑)。
あ、石津に(あの猫恐怖症の石津に!)抱きしめられたときは、さしものホームズ嬢も「フニャオ、フニャオ」と困り切った声を出したっけ(笑x笑)。
で、せっかく平成の今なのですから、ドイツを旅したことの無い方はぜひ、「ベルグフリート Bergfried」とか、「中世 城 Schloss Mitteralter」と画像検索しながらお読みください。
きっとその方がもっと雰囲気が出ます。
(1988年2月20日)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『三毛猫ホームズの騎士道』
- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:光文社 カッパノベルズ
- 発行:昭和58年(1983年)
- NDC:913.6(日本文学)推理小説
- ISBN:4334025161
- 252ページ
- 登場ニャン物:ホームズ
- 登場動物: -