赤塚正明『症状別 猫の健康がひと目でわかる本』
自宅でも病院でも犬猫を多数飼育している獣医師さんが書いた本。
著者は赤塚ペットクリニック院長。
猫がかかる病気をひとつひとつ説明した本だが、その説明文が、とても平易でわかりやすいのがよい。病院で素人の飼い主さんに説明しなれているからだろう。
たとえば、肛門嚢(のう)炎の説明では;
飼い猫のこの症状をはじめて見た飼い主さんが慌てて連れてこられて、『先生、うちの子、お尻の穴が二つになっちゃいました!』と、おっしゃることもよくあります。
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なるほどなあ。
「肛門嚢が炎症をおこしている」ではピンとこない人も、「お尻の穴が二つ」なら、容易に想像でき、文章だけでもどんな状態かわかりやすくて良いと思う。
しかし恐らく、院長先生が一番言いたかったことは「はじめに」にある言葉ではないだろうか。
(前略)・・・思うのは、一緒に暮らしている飼い主さんの観察力や判断力ほど大切なものはないということです。(中略)たとえ子猫のときから診察している猫でも、普段の様子を一番よくご存じなのはやはり飼い主さんです。飼い主さんにしかわからないことが、診断の決め手になるのです。
page1-2
猫は口をきけない。その猫を代弁できる人間は飼い主さんしかいない。
だからこそ、常日頃から、こういう本を読むなりして、勉強しておいて欲しい。
そしてもし万が一愛猫さんの様子が少しでもおかしければ、すぐに獣医師に相談して欲しい。
これは私も強く思う。
このようなHPを運営していると、何を勘違いしてか、相談メール(や投稿)をけっこうもらう。私は獣医師ではないと、HP上でもはっきり書いているにかかわらず。
しかもそういうメールに限って電文のように短く言葉足らずなのだ。
「うちの猫が最近元気ないんです。なんとなく、ぐったりした感じです。どうしたのでしょうか」
私にわかるワケないだろう!
っていうか、こんな短い3行では世界一の獣医師だってわかるもんか!
あまりに多いので、こういうメールに対する返信メールのひな形まで作ってある。
「私は獣医師ではありませんし、あなたの猫さんの事は何も知りません。またたとえ獣医師であったとしても、見たことも触ったこともない猫さんの症状を、書かれた数行の言葉だけで正しく診断することは不可能でしょう。すぐ猫さんを動物病院につれていって獣医さんに相談してください」云々。
「そうですね、そうします」との返信がくれば上出来。
無言の人の方が多い。
それどころか、 中には「獣医に行くのが大嫌いで連れて行くのは可哀想だから相談したのに。じゃもういいです。」と逆ギレする人までいる。
病気かもしれないと知りつつ放置するのと、病院で適切な診療をうけさせるのと、どちらが可哀想なのか。
はぁ~。付き合ってられんとはこのことだ・・・
(2005.7.24)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『症状別 猫の健康がひと目でわかる本』
副題、シリーズ名など
- 著:赤塚正明 (あかつか まさあき)
- 出版社:ドリームクエスト
- 発行:年
- NDC:
480(動物学) 489.53(哺乳類・ネコ科) 645.6(家畜各論・犬、猫) 726(マンガ、絵本) 748(写真集) 913.6(日本文学)小説 914.6(日本文学)随筆、エッセイ - ISBN:
- ページ
- カラー、モノクロ、口絵、挿絵、イラスト(カット)
- 原書:
- 登場ニャン物:
- 登場動物:
目次(抜粋)
- はじめに
- 序章 猫がしほしいこと ほしくないこと
- 1章 いつも元気でいるためにこれだけは覚えておこう
- 2章 知らないうちにうつっているかも・・・怖い感染症、慢性腎炎
- 3章 この症状を見逃すな すぐわかる猫の病気+健康チェック
- 4章 こんなスキンシップは危ない 人と猫との共通感染症
- 索引