『動物由来感染症 ヒトと動物が健康に生活するための高しい知識』

正しく知ることが、一番の予防法。
少年少女用の本です。文章は平易で読みやすく、すべての漢字にルビがふってあります。かわいい動物イラスト、カラフルで明るい装丁、あざやかなカラー写真。
ですが、子ども用とあなどってはいけません。内容は、大人こそしっかり理解してほしい知識・情報がつまっています。
ネットの普及で、情報の伝達スピードがどんどん早まっています。それ自体は良い事なのですが、良い情報と同様、悪意ある情報や嘘の情報が増えているようなのが気になります。また、内容的には正しくとも、受け取り方や広がる速度によって、過剰反応や、ときには社会的パニックさえ引き起こされたりします。
とくに、動物は非難の対象になりやすいのです。なぜなら、動物は反論できませんから。一度広がった情報は、内容の真偽に関係なく、加速度を増してさらに拡散されてしまいます。
人々は、とくに幼い子供をもつ親たちは、疑心暗鬼にならざるをえないでしょう。ペットは飼わない方がよいのか。動物園もいかない方がよいのか。野生動物は即座に駆除すべきなのではないだろうか。
「本書のねらい」で、著者は以下のように書いています。
(前略)むしろ動物好きの著者たちが、野生動物に対しては一般の人は予備知識もなくむやみに近寄らないように、動物園などでは安心して動物たちを見て、知ることができるように、家畜動物に対しては正しい飼育方法を、そして人がペットと一緒に暮らすためにはペットに対して理解を持ち、ペットをきちんと飼うことによってペットが健康にすごすことができ、そしてその結果自分たちも健康に暮らせるよう、もしペットでも人でも健康状態にいじょうがあれば早く気づくことができるように、そんな気持ちを以てそれぞれが担当してできあがった本です。
動物が人のことを考えて生きていく、ということはまずないでしょう。人は動物のことを考えながら生きていくことができるはずです。
page6 注:原文ではすべての漢字にふりがな
かわいいイラストや写真が多いのですが、症例写真も少しあります。猫ひっかき病とパスツレラ症の、それぞれ患部の写真です。どんな状態になるのかひと目でわかる、良い写真です。
ご家族全員で、この本をよく読んでいただきたいと思います。そして、必要な予防や処置を怠らないこと。
ちゃんと対処さえしていれば、怖がる必要なんてないことが、よくわかると思います。

目次もすべてルビ付き

大人も子供も参考になる内容。ご家族全員でぜひ。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『動物由来感染症 ヒトと動物が健康に生活するための高しい知識』
写真を見ながら学べるビジュアル版 新健康教育シリーズ
- 監修・著:岡部信彦(おかべ のぶひこ)
- 著:荒島康友(あらしま やすとも)・石川裕司(いしかわ ゆうじ)・霍野晋吉(つるの しんきち)・松本清司(まつもと きよし)・吉田博(よしだ ひろし)
- 出版社:少年写真新聞社
- 発行:2004年
- NDC:493.8(医学)感染症
- ISBN:7879811580 9784879811585
- 61ページ
- カラー
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:寄生虫、ウィルス、細菌、他
目次(抜粋)
- 本書の刊行に際して
- 国の対策
- 感染症法に規定されている動物由来感染症
- 「人と動物の共通感染症研究会」発足の主旨
- 動物由来感染症とは
- 狂犬病―4類感染症
- オウム病―4類感染症
- サルモネラ症
- トキソカラ感染症(イヌ・ネコ回虫症)
- トキソプラズマ症
- ネコひっかき病
- Q熱―4類感染症
- パスツレラ症
- エキノコックス症(包虫症)―4類感染症
- レプトスピラ症
- ペットを飼う前に知っておくこと