『ポイント解説 犬と猫の尿・血液検査マニュアル』

Teton最新獣医臨床シリーズ。シンク、フェルドマン共著
獣医学の専門書、とくに一般飼い主を相手にしているような、開業医のための本です。そのため、どこまでも実践の場で使いやすいよう、きわめて実用的に作られています。
- バインダー式の製本で、どのページを開いても平たく机に置ける。
- 紙質は厚めで丈夫。これなら多少水がかかったりしても破れないだろう。
- 症例画像はどれもカラー写真で、多くの専門書に見られるような白黒写真とちがって、各段に見やすい。また、サイズもそろえられ、必要に応じて並べられているので、飼い主へ見せて説明もしやすいと思う。
- 全部の文章に3種類のシンボルマークのどれかがついている。そのシンボルマークとは、
- 日常行われる検査の基礎的事項に限定して記載している。
- 忘れてはならない重要な事項を記載している。
- 致命的な結果を招く恐れがある事項について記載している。
なお、この本には別売りのCD-ROMが用意されているそうですが、私が購入したのは中古本で、CDはついていませんでした。本を見るに、どうやらアメリカまで注文しないといけない?獣医師ではない私が輸入までして購入する必要はないと判断、注文はしませんでした。

よい本だとは思いますが、
・・・なんせ高い!(汗)
9000円+税(涙)。
このページ数でこの装丁、もし料理レシピ本なら900円ってところでしょうか。猫の写真集なら1200円、ふつうの写真集より少し紙が丈夫そうなことを配慮しても、せいぜい1500円?

それから、内容的には、「検査するときの手順」を書いている本です。こういう状態ならこういう病気です、この病気の症状は治療法は、というような病気説明はあまりありません。ふつうの飼い主さんは、愛猫の検査の仕方ではなく、その結果や治療法を知りたくて尿検査をするのでしょうから、そういう意味ではあまり役に立たないかもしれません。
ですのでこの本、一般の飼い主さんには強くお勧めはできません。最近はちょっと検索すれば、症例画像など無料で見つかりますしね。でも、持っていても損のない本だとは思います。画像がどれもきれいで、眺めているだけでも(そういうことに興味のある人であれば)かなり楽しめるでしょう。
獣医師さんはもちろん、獣医学業界に身を置く人であれば、ぜひご購入を検討ください。


※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ポイント解説 犬と猫の尿・血液検査マニュアル』
Teton最新獣医臨床シリーズ
- 著:Carolyn A. Sink ; Bernard F Feldman
- 監訳:梶ヶ谷博(かじがや ひろし)
- 訳:早川典之(はやかわ のりゆき)
- 出版社:株式会社インターズー
- 発行:2004年
- NDC:649(獣医学)
- ISBN:9784899953067
- 125ページ
- カラー
- 原書:”Laboratory Urinalysis and Hematology for the Small Animal Practitioner” c2004
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:-
目次(抜粋)
発刊によせて
謝辞
著者序文
監訳者序文
はじめに
利用の手引き
尿検査
Section 1 採尿と尿試験紙(ディップスティック)による検査
1.1 検体の採取
1.2 尿検査の内容
1.3 尿試験紙各論
Section 2 顕微鏡検査
2.1 尿検体の遠心分離
2.2 尿沈査の成分
2.3 尿検査基準値
血液検査
Section 3 採血と検査
3.1 検体の採取
3.2 全血球算定検査の説明
3.3 用手法検査の手順
Section 4 白血球
4.1 既往と特徴
4.2 白血球の専門用語
4.3 好中球成熟過程
Section 5 赤血球
5.1 機能と特徴
5.2 検査
5.3 赤血球用語
5.4 赤血球の産生
5.5 網赤血球
5.6 血液塗抹評価のガイドライン
Section 6 血小板
6.1 構造と機能
6.2 検査
付録
用語索引
参考文献
監訳者・訳者プロフィール
