『犬と猫の品種好発性疾患』
品種によって罹患しやすい病気がある。
犬と猫の、各品種における、発生しやすい疾患の一覧。
とはいえ、犬が冒頭~192ページまでであるのに対し、猫は193-210ページまでの、わずか18ページ分しか記載されておらず、ふつうの猫飼い主が13,150円も出して購入する価値があるとは思えない。
また、各品種における説明も、病名の列記に近い、そっけないもので、一般飼い主が読んで面白いものではない。
しかし、生体を扱っているペットショップ店員をはじめ、ペット産業従業者であれば、当然知っているべき内容ではあるだろう。
たとえば、メイン・クーンの項目は以下の通り。
心血管疾患
肥大性心筋症
・一般的な疾患
・中齢から高齢の猫が罹患しやすい
・雄が罹患しやすい
・この品種では常染色体優性遺伝形質として遺伝筋骨格疾患
股関節形成不全
・ある研究では、X線写真で調べたメイン・クーンの51%に股関節形成不全があることを明らかにした
・猫では遺伝性は不明
page 209
以上が、メイン・クーンについて書かれた全文である。
取り上げられている猫種は、以下の各種。
アビシニアン、アメリカン・ショートヘアー、エジプシャン・マウ、オリエンタル、コーニッシュ/デボン・レックス、コラット、シャム、スコティッシュ・フォールド、ソマリ、ドメスティック・ロング・ヘア、ドメスティック・ショート・ヘア、トンキニーズ、ノルウェジアン・フォレスト、バーミーズ、バーマン、ハバナ・ブラウン、バリネーズ、ヒマラヤン、ブリティッシュ・ショート・ヘア、ペルシャ、マンクス、メイン・クーン、ラグドール。
なお、211-287ページは疾患の概要+参考文献。
猫医学のさらなる発展を望む。
ページ数の差は、犬医学と比べても、猫医学がまだまだ発展途上にあることを如実に示してると思う。
また、犬のページがこれほど多いもうひとつの理由として、品種改良の無理が犬の体に大きな負担となってしまっているせいも考えられる。
猫の品種間差異が、将来も犬のそれのように大きくならないことを強く願う。
犬のように同一種と思えないほど品種間差異が広がってしまったら、猫にも品種により、様々な病気が増えるだろうことは間違いないだろう。
(2008.8.30.)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『犬と猫の品種好発性疾患』
- 著:Alex Gough, Alison Thomas
- 監訳:徳力幹彦
- 訳:八木澤直美
- 出版社:株式会社インターズー
- 発行:2005年
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
- ISBN:4899953364
- 287ページ
- 原書:”Breed Predispositions to Disease in DOGS & CATS” c2004
- 登場ニャン物:
- 登場動物:
目次(抜粋)
- 口絵
- 第1部 犬の好発性疾患
- アーフェンピンシャー
- アイリッシュ・ウォーター・スパニエル
- その他
- 第2部 猫の好発性疾患
- アビシニアン
- アメリカン・ショート・ヘア
- その他
- 第3部 疾患の概要
- 心疾患血管
- 皮膚疾患
- その他