神林長平『敵は海賊・海賊課の一日』

神林長平『敵は海賊・海賊課の一日

 

『敵は海賊』シリーズ5作目。

宇宙フリゲート艦・ラジェンドラは上機嫌だ。
定期徹底点検を受けたばかりだからだ。

全身、完璧に調整された。
黒猫型異星人・アプロの足型も洗い落とされた。
アプロが艦内に隠したおやつの数々も廃棄された。

これでは機嫌が良くなるのも無理はない。

で、つい、余計な一言を言ってしまう。
「・・・・・実は、あすはアプロの誕生日です。」

海賊課の悪夢がはじまる。

おそれを抱いたチーフ・バスターは、アプロと相棒のラテルを「とにかく海賊課本部から外に出さないことだ」と考え、一日の室内勤務を命じる。
その仕事の内容とは、「苦情処理係」。お客様からの苦情を受け付けるという、あれである。
電話ではなく映話で、だけど。

ラテルが一番最初に受けた苦情の、事件の真犯人(真犯猫?)は、予想に違わず、アプロだった。
アプロはラテルに「チーフへの報告書を書け」と命じられ、仕方なく、旧式タイプライターの前に座って、一本指打法ならぬ一本爪打法で、ポツリポツリとタイプしはじめる。
やけに殊勝な後ろ姿についほろりとなったりするラテルだが・・・

ラテルは夢を見る。
忘れていた過去、知らなかった過去。

え、本人も知らなかったはずの過去?
これはラテルの単なる空想か?それとも、正夢?

さらに、宿敵・幻の大海賊・ヨウメイの言葉。

『ラテル、アプロを撃て。でないと、世界は変化し、おまえ自身は消える』

いったい、アプロが、自分の誕生日にしたこととは?

(2007.8.7.)

P.S.本カバーのイラストレーターが変わっていました。ちょっとがっかり(新しい方、ごめんなさい)。いままでの、あまのよしたか氏のアプロが最高に可愛くて大好きだったので。

神林長平『敵は海賊・海賊課の一日

神林長平『敵は海賊・海賊課の一日

****「敵は海賊」シリーズ ****

アプロ=黒猫型異星人で広域宇宙警察・太陽圏・火星ダイモス基地所属・対宇宙海賊課・1級刑事。食いしん坊で、脳天気で、身勝手で、非常識で、性格も見た目もまさに猫。が、実は案外優秀な刑事でもある。

ラウル・ラテル・サトル=同じく1級刑事でアプロの相棒。

ラジェンドラ=対コンピュータ戦闘用高機動宇宙フリゲート鑑。AAA級人工知能を有す。アプロとラテルの愛艦。

ヨウメイ(匋冥)・シャローム・ツザッキィ(ヨーム・ツザキ)=太陽圏の裏側を支配している幻の大海賊。表の顔は裕福な経済人。この「ヨウメイ」って、『荘子外編』に出てくる言葉「至道之精 窈窈冥冥(至道の精髄は窈窈冥冥ようようめいめい、つまり、奥深くて極めがたい)」からきているのかな?

カーリー・ドゥルガー=超A級宇宙空母でヨウメイの愛艦。その戦闘能力は太陽圏随一で、ラジェンドラもまともに戦ったらかなわない。

クラーラ=白い猫型の有機ロボット(本物の猫?)。ヨウメイの「純粋な良心」の具現化という説も。めったに出てこない。

「敵は海賊シリーズ」普遍のテーマ=「自由」および「支配」。

まとめ:「敵は海賊」シリーズ

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『敵は海賊・海賊課の一日』
敵は海賊シリーズ

  • 著:神林長平(かんばやし ちょうへい)
  • 出版社:早川書房ハヤカワ文庫
  • 発行:1995年
  • NDC:913.6(日本文学)SF小説
  • ISBN:4150305080 9784150305086
  • 317ページ
  • 登場ニャン物:アプロ(黒猫型異星人)、クラーラ
  • 登場動物:-

 

著者について

神林長平(かんばやし ちょうへい)

新潟県生まれ。1979年、第5回ハヤカワ・SFコンテスト佳作入選作「狐と踊れ」で作家デビュー。第1長編『あなたの魂に安らぎあれ』以来、独自の世界観をもとに「言葉」「機械」などのテーマを重層的に絡みあわせた作品を多数発表、SFファンの圧倒的な支持を受けている。『敵は海賊・海賊版』、『グッドラック 戦闘妖精・雪風』などの長短編で、星雲賞を数多く受賞(以上、早川書房刊)。1995年、『言壷』で第16回日本SF大賞を受賞した。

まとめ:「敵は海賊」シリーズ

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


ショッピングカート

 

神林長平『敵は海賊・海賊課の一日

8

猫度

7.0/10

面白さ

8.5/10

猫好きさんへお勧め度

8.5/10

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA