神林長平『敵は海賊・海賊たちの憂鬱』
『敵は海賊』シリーズ3作目。
海賊たちにとってもっとも憂鬱なことといえば何だろうか?
やはり、この世界が綺麗に浄化され正義だけが存在する世界となることではないだろうか?
正義の使者が現れる。
太陽圏連合の時期首相候補、マーク・マーマデュークだ。
全身これ正義感の固まりという変わった人物で、もっと奇妙なのが、周囲の人間たち、のみならず、機械であるラジェンドラやカーリー・ドゥルガーまでが、精神的な(?)影響を受けてしまったらしいこと。
しかも、このマーク・マーマデューク、殺しても死なない?
マーク・マーマデュークとは誰だ?
本当に人間、普通の地球人なのか?それとも?
マークの警護を命じられたラテルとアプロ。
マークを邪魔だと思う海賊ヨウメイ。
さらに海賊でも海賊課の刑事でもないが、誰よりもマークを消したがっている人物というのもあらわれて、三つ巴四つ巴のバタバタ喜劇が始まる・・・!
(2007.8.1.)
****「敵は海賊」シリーズ ****
アプロ=黒猫型異星人で広域宇宙警察・太陽圏・火星ダイモス基地所属・対宇宙海賊課・1級刑事。食いしん坊で、脳天気で、身勝手で、非常識で、性格も見た目もまさに猫。が、実は案外優秀な刑事でもある。
ラウル・ラテル・サトル=同じく1級刑事でアプロの相棒。
ラジェンドラ=対コンピュータ戦闘用高機動宇宙フリゲート鑑。AAA級人工知能を有す。アプロとラテルの愛艦。
ヨウメイ(匋冥)・シャローム・ツザッキィ(ヨーム・ツザキ)=太陽圏の裏側を支配している幻の大海賊。表の顔は裕福な経済人。この「ヨウメイ」って、『荘子外編』に出てくる言葉「至道之精 窈窈冥冥(至道の精髄は窈窈冥冥ようようめいめい、つまり、奥深くて極めがたい)」からきているのかな?
カーリー・ドゥルガー=超A級宇宙空母でヨウメイの愛艦。その戦闘能力は太陽圏随一で、ラジェンドラもまともに戦ったらかなわない。
クラーラ=白い猫型の有機ロボット(本物の猫?)。ヨウメイの「純粋な良心」の具現化という説も。めったに出てこない。
「敵は海賊シリーズ」普遍のテーマ=「自由」および「支配」。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『敵は海賊・海賊たちの憂鬱』
敵は海賊シリーズ
- 著:神林長平(かんばやし ちょうへい)
- 出版社:早川書房ハヤカワ文庫
- 発行:1991年
- NDC:913.6(日本文学)SF小説
- ISBN:4150303525 9784150303525
- 316ページ
- 登場ニャン物:アプロ(黒猫型異星人)
- 登場動物:-