南里秀子『猫と人と古民家と』
平屋、築200年、間取り10LDK、海まで徒歩1分の古民家に一目惚れ!
キャットシッターの南里さんといえば、猫好きの間では超有名人です。日本初の猫専門ペットシッティングサービスを開業、その後、「猫の森」という法人を設立、猫のエッセイ本も執筆と、多方面にわたって活躍されています。
その南里さん、広い敷地に建つ古民家を探していました。日本中の猫と人が「いつか行ってみたい」と思うような、団欒の場にできる古民家。
そして、ついに出会ってしまったのです。理想の古民家。まさに一目惚れ。
その場で購入を決めたは良いものの、その後にまさか、あれほどの困難が待ち構えていたとは・・・
場所は、南紀白浜。目の前に海。勝浦温泉まで車で10分。築200年、敷地777坪、建物123坪。敷地の周りは美しい石垣で囲まれ、東西南北に4つも門が開かれている。古井戸。納屋に蔵。野菜畑。
ああ、まさに夢の古民家!
でもね、まずは、・・・思い出してください。南里さんの根拠地は東京は千駄ヶ谷のマンションなんです。南紀白浜まで片道6時間。これだけでも大変なのに。
まず、購入宣言から実際に契約にこぎつけるまで、思いのほか時間がかかってしまいます。売主があーだこーだとごねたのです。次に、改修のための設計士選びで苦労します。設計そのものにも苦労します。ついこだわって、希望の通りにしようとすればするほど、予算がどんどんオーバーする。あっという間に、当初の予算の2倍を越えた!
しかも、想定外の諸費用もつぎつぎとかかります。まずは、残されていた不用品の処分。これがまあ、あることあること、なんせ築200年の田舎物件ですからね。田舎では物を大事にしますからね。ゴミ同然、いえ、ゴミ以外何ものでもないようなものまで、全部とっておく。それが広い家にも蔵にも納屋にも、うずたかく積み重なっていたんです。
それを全部プロに頼んだら、ゴミ処理だけで7桁費用となっちゃいます。南里さんは節約のため、東京から延々南紀白浜まで通って、ボランティアも募って、家の片付けから始めます。その間も設計士とはトラブル続き。時間とお金ばかりが飛び去って行いきます。しかも、その間に東日本大震災まであって。
そんな、あらゆる困難を乗り越えて、とうとう改修も終了しました。ついに夢の古民家が現実のものに!名付けて「猫楠舎」。南里さんといえば猫、南紀といえば南方熊楠、楠の字には「南」という字もはいっていて、これ以上にふさわしいネーミングはありませんよね。
それにしても、南里さん、なんてパワフルな女性なんでしょうか。南里さんの言葉にも、つい頷いてしまいます。
・・・なぜなら、猫は人間の感情をスポンジのように吸収するからだ。よって、猫とうまく付き合う極意は「いっしょに暮らす人のご機嫌元気!」というのが私の持論である。
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そっか、愛猫を元気にするには、まず私が元気にご機嫌に毎日をすごさないとならないのか。いえ、私だってよく分かっているんですけれどね、そんなこと。難しいのは、猫は人間と違って、本当に本心から元気にならないと見破られるということ。人間相手なら、表面だけのごまかしがけっこう通用してしまいます。でも猫はごまかせませんからねえ。
南里さんを見習って、私も元気に過ごせるよう頑張りますデス。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『猫と人と古民家と』
- 著:南里秀子(なんり ひでこ)
- 出版社:株式会社幻冬舎
- 発行:2012年
- 初出:Webマガジン幻冬舎2011年2月~2011年9月
- NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
- ISBN:9784344022485
- 182ページ
- カラー口絵
- 登場ニャン物:複数
- 登場動物:-
目次(抜粋)
まえがき
一 ああ、愛しの古民家
二 購入までの道のり
三 お宝を探せ!
四 古民家から猫楠舎へ
五 試練は続くよ
六 猫楠舎とおじいちゃん先生
七 予算破りの坂
八 内装設備はこう決めた
九 出るものあり、実りあり
十 ミョウコウさん、いざ猫楠舎へ
十一 家霊の儀と猫楠舎の猫
十二 課題にワクワク
十三 猫楠舎とともに
あとがき