桜井幸子監修『うちの猫がいちばん!子猫の育て方』

ヒマラヤン・ブリーダーが書いた飼育書。
この本をぱらぱらと部分的にみていたときは特に気がつかなかった。コメントを書くため最初から最後まで通して読んではじめて、違和感を感じた。
まず奥付の発行年月日を見てみた。1995年。新刊にはほど遠いとはいえ、とくべつ古いというほどでもない。
次に、監修者の経歴が書いてないか探した。たった1行、否、一言だけ、書いてあった。いわく「ヒマラヤン・ブリーダー」。
そうか、ブリーダーが書くとこういう猫本になってしまうのか。
別に間違ったことは書いてない。それどころか、78ページという薄さの中に、よくまとめてあると思う。初めて子猫と暮らす人には色々と役立つ事が多いと思う。
が、・・・最近、私はちょっと神経過敏になっている。捨て猫の多さ、野良猫への虐待、無思慮なペットブーム、その他その他。
この本で気になったのは、まず、大人猫はたとえきちんとしつけてあっても気を遣う、猫初心者は子猫がおすすめ、と始まっていること。
え?というのが、私の感想だ。
猫初心者なら、大人猫からの方が飼いやすい場合が多いと、今の私は考えている。
しかし、この本ではなんと「生後3ヶ月までの子猫」をすすめているのだ。「3ヶ月の」ではない、「までの」である。

大人猫のほうが、初心者は飼いやすい場合が多いと、私は考えていますが。
そして、お決まりの「良い猫の選び方」。
だって「飼い始めて病気ばかりしていては大変です。」
子猫は、「ペットショップで買う」「ブリーダーから買う」のが良くて、「知り合いの家で生まれた子猫をもらう」「不幸な猫の里親になる」も一応選択肢としてあげてはいるけれど、「血統がはっきりわかり、性格もある程度判断できる純血種が飼いたいというのも、これから猫を飼おうと思っている人の選択テーマ」だと結論づけている。
そして、短毛種は活発な猫が多いが活発な猫を完全室内飼いするのは欲求不満になって良くない、とか、不妊手術するという選択もある、とか。
また何回か出てくる「キャットショー」という言葉。
う~~ん。
根っからのヒマラヤン・ブリーダーなのですね。
ブリーダーなら、コスト計算からいって、子猫を3ヶ月以上も置いてはおけないでしょう。
飼う(買う)なら長毛種を買ってね。
自分がどんどん生ませている立場上、他人に不妊手術なんか勧められない。
猫を飼うなら最終的な目標はキャットショーでしょ?
なんか、そんな思想が背景にあるような気がして・・・私の被害妄想かも知れない。が・・・
大人猫だって子猫に負けないくらいよく懐きます。
むしろ苦労した子でベタベタの甘えん坊になるケースは多いです。
精神的に安定していて同居しやすい猫に育てるには、生後3ヶ月までは親兄弟からはなさないというのは、すでにヨーロッパでは常識だと思うのですが。
猫は完全室内飼いしましょう。
かならず不妊手術しましょう。
今の日本では、残念ながら、完全室内飼いと不妊手術は必要事項です。
(2005.5.19)

こういう情報は役に立ちます。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『うちの猫がいちばん! 子猫の育て方』
副題、シリーズ名など
- 監修:桜井幸子
- 出版社:誠文堂新光社
- 発行:1995年
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
- ISBN:4416795009
- 78ページ
- 登場ニャン物:
- 登場動物:
目次(抜粋)
- 1章 子猫を迎える
- 子猫の可愛らしさを味わう
- 猫を飼うための心構え
- その他
- 2章 子猫を飼う上で知っておきたいこと
- 子猫の食事と栄養
- 子猫に与えてよいもの、悪いもの
- その他