谷口ジロー『タラク山の熊王(モナーク)』

シートン 旅するナチュラリスト 第4章。
作画:谷口ジロー、原案:今泉吉晴の人気シリーズ。
運命に翻弄された一頭の偉大なグリズリー(ハイイログマ)と、ひとりの男の物語。悲劇、と形容すべきかもしれない。
ケリヤンは深い山に住む猟師である。ある日、子連れの母グマを仕留めた。幼い2頭の子グマは生け捕りにした。
雄の方の子グマは犬のようによく馴れた。愛くるしい仕草でケリヤンや仲間のボナミーを楽しませる。
ところがある日、偶然訪れた商人が子グマたちを売ってくれという。金に目のくらんだケリヤンは、つい手放してしまう。すぐに後悔するが、すでに後の祭り。
これが、子グマのジャックの不幸の始まりだった。

谷口ジロー『タラク山の熊王(モナーク)』裏表紙
月日が流れ、人々はグリズリーたちに悩まされていた。放牧地のウシが次々と襲われたのである。グリズリーは一般的に果実や山の動物を食物としていたので、ウシを襲う個体は少数派だったが、被害があちこちで出るようになると、各地の名物グマにはあだ名と賞金がつけられた。プレイサービルのリールフット。ムッケルンネのブリン。フェザー川のペグトラック。スタニスラウスのモナーク。そして一番有名なウシ殺し、グリンゴ。
ケリヤンは5頭のグリズリーたちを追うことにした。中でもグリンゴは絶対に仕留めたい。ケリヤンはそれ以前にも、何回もグリンゴと対峙しては逃げられていたし、知人も殺されていた。
力比べでは、ヒトはクマの比ではなかった。知恵比べでも、ケリヤンは負け続ける。グリンゴは、恐ろしく用心深く、信じられないほど賢く、しかも、馬のように俊足なクマだった。・・・
この本を読み終わったとき、私はシートンの悲痛な叫びが聞こえたような気がした。人類よ、おごるな!もっと動物を良く見よ!理解せよ!
(2008.8.29.)

谷口ジロー『タラク山の熊王(モナーク)』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『タラク山の熊王(モナーク)』
シートン 旅するナチュラリスト 第3章
- 著:作画:谷口ジロー(たにぐち じろー)
- 原案:今泉吉晴(いまいずみ よしはる)
- 出版社:双葉社アクションコミックス
- 発行:2008年
- NDC:726(マンガ、絵本)
- ISBN:9784575941517
- 418ページ
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:ハイイログマ、その他多数の野生動物達