ウェルズ『通い猫アルフィーの贈り物』

アルフィーシリーズ第7弾。

アルフィーは「通い猫」。拠点はクレア・ジョナサン夫婦の家ですが、他にも「家族」と呼べる家が数軒あり、それらの家に毎日通って暮らしています。家族はもちろん、友人も知人も猫達も、さらにただの近所の人も、周囲全員が幸せであることを、常に祈っている猫です。

あらすじ

近所に高齢女性が引っ越してきた。夫と死に分かれて今は一人暮らし。様子を見に行ったアルフィー達は追い払われたけど、アルフィーの癖として、どうも気になって仕方がない。彼女がとても不幸に見えたから。これが、今回の課題その1。

トミーの態度が最近ますます悪い。トミーはフランチェスカ・トーマス夫婦の次男で、アレクセイの弟。アルフィーの大切な家族の一員だ。トミーはちょうど「反抗期」と言われる年齢だけど、ただの反抗期にしては悪すぎる。このままでは下手すれば退学だ。どうしたらいいの?これが、今回の課題その2。

そして、アレクセイと恋人のコニー。ホームレスの施設を訪問してショックを受けた彼らは、ホームレス達の為になにか出来ないか悩んでいた。それにはアルフィーがすばらしい提案をしてあげた。まだ若い彼らは、大人たちの力を借りて、チャリティークリスマス劇の開催にとりかかる。賛同者も増え、スポンサーもついて、イベントはどんどん大掛かりに。良いことだけど、大がかりになればなるほど、する事も、さらにトラブルも増えて、さあ大変!イベント成功のために必要なことは?これが今回の課題その3。

人間のために、あちこち奔走するアルフィー。まさに獅子奮迅の、いや、猫奮迅の大活躍!仲間の猫達にも協力してもらって、「みんなの幸せはぼくが守る!」。

感想

アルフィー、これじゃあ大変だ。体がいくつあってももたないよ。ましてあにゃたは人間ではなく、猫。猫が人間なんかのためにそんなに苦労してどうするの?

ほんとうにアルフィーって変な猫です。こんなお節介で働き者の猫なんて、他にいません。

と同時に、周囲の人間たち、勘良すぎです。アルフィーが何かをくわえてきただけで、あちまちその意図を理解していしまう。人間って、そりゃ鈍い生き物なんですよ。人間同士ならまだ分かり合えるようですけれどね。猫や他の動物達の気持ちは、なかなかわかってくれない。こんなに勘の鋭い人たちと一緒にいるアルフィーは幸せ者です。

・・・なあんて、思っちゃいました。あまりに話が楽に進んでいってしまう気がして。

それから、なんというか、その・・・このシリーズでは、人間が「独り」でいることは、有無を言わさずとにかく「悪」なんですよねえ。独り暮らしの人間はどんどん誰かとくっつけられしまうし、独り暮らしの高齢者は誰かとお昼を一緒に食べなければならないし。なぜそんなに群れたがるの?

アルフィーが犬なら、こういう設定の小説にも何も感じなかっただろうと思うのですが、アルフィーは猫なだけに、なんか可哀想です。猫が人間のために苦労しなきゃならないなんて。猫はいつだって超然と人の上にかまえていれば良いんです。その方が似合う動物なのに。猫派の私としては、つい心配してしまう?

そういえば前話ではアルフィーの年齢もけっこう話題にのっていたのに、今回は高齢猫とは思えぬ活躍ぶりです。そこは単純に嬉しかった。老いて弱ったアルフィーなんて読みたくありませんから。

サーモンとすっかり仲良くなれたのもよかったね。アルフィーとサーモン、猫の癖に「大の詮索好き」という性格はよく似ているのですもの。今後もよいコンビとなりそうです。

ウェルズ『通い猫アルフィーの贈り物』

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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著者について

レイチェル・ウェルズ Rachel Wells

愛猫家。デビュー作『通い猫アルフィーの奇跡』が英紙サンデー・タイムズのベストセラー入りを果す。(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『通い猫アルフィーの贈り物』

アルフィーシリーズ第7弾

  • 著:レイチェル・ウェルズ Rachel Wells
  • 訳:中西和美(なかにし かずみ)
  • 出版社:株式会社ハーパーコリンズ・ジャパン
  • 発行:2021年
  • NDC:933(英文学)長編小説
  • ISBN:9784596015310
  • 415ページ
  • 原書:”Alfie The Christmas Cat” c2020
  • 登場ニャン物:アルフィー、ジョージ、ハナ、スノーボール、ごみばこ、アリー、オリバー、エルビス、ロッキー、ネリー、サーモン、タイガー、他
  • 登場動物:ピクルス(パグ犬)
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