矢崎存美『NNN(ねこねこネットワーク)からの使者 毛皮を着替えて』
シリーズ第三作。「NNN」=猫好きの間で密やかに囁かれている謎の組織[ねこねこネットワーク]。。
「毛皮を着替え」た猫達のお話です。
第一話 泣いてもいい
「ペットロス」なんて言葉は自分とは無縁だと思っていた男は・・・
第二話 ミーと私とミー
子ども時代に猫を飼ったことのある人の多くが経験しているのではないでしょうか。子供ですから「飼っていた」というより、「両親が世話をし、自分はただかわいがっていただけ」という場合が多いでしょうけど。
第三話 猫が呼んでいる
猫と本さえあれば、辛くなんかない。でも・・・
第四話 毛皮を着替えて
外見はぜんぜん違うのに、なぜか前の猫が思い出されてならない。ふとしたしぐさ、癖、自分を見上げるその顔つき・・・
第五話 虹の橋
「虹の橋」という詩を御存知でしょうか。もし御存知で、そしてもしあなたにも愛猫がいたのであれば、きっと心がふんわり暖かくなれるお話です。
感想
今回はひとつのテーマにそった作品集でした。「毛皮を着替える」、そう、猫好きなあなたならわかりますよね?もしかしたら貴方自身も経験者かも?
私の最愛の猫、レオ。虹の橋へ向かってちょうと4週間後に、生後推定4週間の子猫が私の前に現れました。それが現在11歳のお栄(おえい)さんこと栄ちっちです。草むらで枯れ切った声で「エイ、エイ」とかすかに鳴いていたので「えい」、女の子だから「お」をつけて、私が良寛さんファンだから幼名の栄蔵から一文字もらって、「お栄」。愛称の「栄ちっち」は、あまりにちっちゃくてかわいかったからです。
このお栄、目の色はレオ、被毛も毛先にだけ色がついている「ティックト」といわれるタイプですが、色はレオがシルバータービーだったのに対し、お栄は三毛。そして、レオの前に逝ってしまった「おつう」も三毛猫でした。私はおつうに「早く戻っておいで」といいきかせて送り出したのでした。そう、お栄はレオとおつうが一緒になって表れたような猫なんです。
こんな話を書いたのは、この本に出てくる猫達も、同じような猫達だからです。毛皮を着替えて戻ってきてくれる猫達。
猫好きなあなたなら、必ず嬉しくなっちゃうでしょう。うちの子も戻ってきて、と祈ってしまうでしょう。あるいは、貴方も戻ってきてくれた子なのよねと、膝の猫を撫でまわしてしまうかもしれません。
猫好きさんに超おすすめの本。ぜひお読みください。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
目次(抜粋)
- 第一話 泣いてもいい
- 第二話 ミーと私とミー
- 第三話 猫が呼んでいる
- 第四話 毛皮を着替えて
- 第五話 虹の橋 お
- まけのショートショートNNN
- あとがき
著者について
矢崎存美(やざき ありみ)
1985年、星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞。著書に「ぶたぶた」シリーズ、「神様が用意してくれた場所」シリーズ、「食堂つばめ」シリーズ、『キルリアン・ブルー』、『繕い屋 月のチーズとお菓子』ほか多数。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)
『NNN(ねこねこネットワーク)からの使者 毛皮を着替えて』
シリーズ第3作目
- 著:矢崎存美(やざき ありみ)
- 出版社:株式会社角川春樹事務所 ハルキ文庫
- 発行:2018年
- 初出:(書き下ろし)
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:9784758442077
- 206ページ
- 登場ニャン物:レオ、ミケさん、ミー、ちび、ソラ、アンナ、他
- 登場動物:-