足立和葉『晴明ふしぎ草子』
副題『妖しの子、黄昏に目覚める』。
時代小説だが、内容はまったくのマンガと思ってください。
舞台は平安時代。
しかし人物達の言葉遣いも、反応も、まったくの現代風です。
主な登場人物も、歴史上の有名人ばかり。
- 安倍晴明=14歳の美少年。少年時代なので、名前の読みは「あべのせいめい」ではなく「あべのはれあきら」。生まれながらにして不思議な力の持ち主。
- 白虎=びゃっこ。人語を操る白猫。常に晴明と一緒。その正体は・・・
- 加茂保憲=かものやすのり。18歳。陰陽博士の加茂忠行の息子で、今は陰陽寮の学生。
- 小野篁=おののたかむら。生前の位は従三位、官職は参議、現在は冥府の役人として閻魔王に仕えている。つまり、とうに死んでいて、亡霊として登場。小野小町の実父。
- 小野小町=おののこまち。現在に名を残す絶世の美女、ただし、物語の時はすでに年齢92歳・・・の、はずなのに、いまなお若く美しい?
- 玉藻=たまも。小野小町の美しい侍女だが、実は・・・。
- 安倍保名=あべのやすな。晴明の父。貧乏貴族だが超美形でモテモテの遊び人。
安倍家は、貴族だが、下っ端も下っ端、屋敷は荒れ、使用人もわずか、ふだんの夕食は薄い粥、というありさま。
つまり、貧乏の極み。
なのに、あるじの保名には自覚がなく、女性に貢いでは遊び歩く毎日。
14歳の晴明の方がしっかり者として家をきりもり。
かたや、加茂家。
こちらも、貴族としての位は高くはないが、安倍家よりはマシ。
陰陽師の一家として名をはせているし、長男の保憲も、まだ学徒ながら、早くも才能を示している。
そして、父・忠行は、小野篁の亡霊と古い知己でもあった。
その亡霊が、とんでもないことを依頼してくる・・・
時代小説といっても、知った名前ばかりだから、名前を覚えるという煩わしさもなく。
外出先の待ち時間とか、頭痛で難しい本は読めない時など、楽しく気楽に読むには最適です。
あと、BL好きな人にも良いかも。
いえ、そういうシーンは出て来ませんけれどね、登場人物が、絶世の美少年に美男子ばかり、女性も全員美人という、美形ワールドですから。
(2004.4.10)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『晴明ふしぎ草子』
妖しの子、黄昏に目覚める
- 著:足立和葉 (あだち かよ)
- 出版社:小学館パレット文庫
- 発行:2002年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:4094210148 9784094210149
- 201ページ
- 登場ニャン物:白虎
- 登場動物:狐(九尾の妖狐)