伊藤晴夫/成田和子『尿路結石症の治療と食事療法』

副題『組み合わせ自由な新レシピ付き』。
これはヒトの尿路結石症についての本です。
ネコはもちろん、ヒト以外の動物は一切出てきません。
おそらく著者はこの本が猫の尿路結石の参考本として読まれるなんて夢にも思わなかったのではないでしょうか。
ですが、ネコ用尿路結石専門書でかつ一般人にもわかりやすい本、なんてのがない現状、何か参考になることがあるかもしれないと、ヒト用の本でもせっせと読む私でした。
さて、ヒトも尿路結石になりますが、ネコとはすこし違います。
たとえばまず、圧倒的に上部尿路結石がおおいこと(ネコは下部尿路結石ですね)。
シュウ酸カルシウムによるものがおおいこと(ネコはリン酸アンモニウムマグネシウム、別名ストルバイトが65~75%)。
ヒトにもリン酸アンモニウムマグネシウムによる結石症はあるけれど、それは常に尿素分解菌の感染が原因で形成されること(ネコでは無菌性のリン酸アンモニウムマグネシウム結石が普通に見られます)、などなど(と、これらはこの本を読んで初めて知った事です・・・汗)。
が、ネコもヒトも同じ哺乳類で、腎臓で尿が作られ尿管・膀胱・尿道を通って体外に排出されるというしくみは同じわけで、結石症の原因は様々なれど食事が大きな原因のひとつである、という部分も同じです。
また治療法もネコのように「これこれの処方食だけ、他は一切食べちゃだめ」というような単純なものではありません。
だから私のような医学素人には、それなりに参考になりました。
腎臓や膀胱や尿についての知識が増し、また食事内容についての考え方などネコにも応用できそうな部分があちこちにありました。
ま、中には「食後すぐに就寝すると尿路結石ができやすい」など、猫さんにはまず応用不可能な部分もありましたけれど(猫は寝るのが商売ニャ!食後2時間以上起きていろなんて無理ニャ!)
特に、猫さんに手作り食を与えている方には参考になるのではないかと思います。
また、本の中で紹介されているレシピはどれもヘルシーで簡単、栄養やカロリー計算もされているので、体脂肪が気になる人にもいいかも?(笑)
(2006.10.12)

伊藤晴夫/成田和子『尿路結石症の治療と食事療法』

人間にできる結石は大きくてわかりやすい

(ヒトが)痩せるメニューとしてもよさそう
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『尿路結石症の治療と食事療法』
組み合わせ自由な新レシピ付き
- 著:伊藤晴夫 (いとう はるお)、成田和子 (なりた かずこ)
- 出版社:日東書院
- 発行:2005年
- NDC:494(医学)
- ISBN:452801386X 9784528013865
- 237ページ
- カラー
目次(抜粋)
- はじめに
- 第1章 尿路結石症の正体
- 尿を生成する仕組み
- 尿路結石の分類
- その他
- 第2章 尿路結石症の診断と最新治療
- 尿路結石症の症状
- 尿路結石の検査
- その他
- 第3章 再発予防のための食事療法(理論編)
- 動物性食品の過剰摂取
- シュウ酸の過剰摂取
- その他
- 第4章 組み合わせ自由な治療食メニュー
- モデルメニュー1日1600kcal
- モデルメニュー1日1800kcal
- その他
- 第5章 尿路結石を改善する食事療法のポイント
- 食事療法のポイント1
- 食事療法のポイント2
- その他
- 第6章 再発を予防するバランスのいい食事(実践編)
- エネルギー&栄養
- 規則正しい食事
- その他