今泉忠明『動物たちの可愛いウンチ』
まるまる一冊、動物のウンチのお話♪。
世の中には子供たちに大人気、「うんこドリルシリーズ」なんてものがありますが。 種々様々な動物達の、種々様々に香るウンチの話ばかりを、290ページの文庫本にギュウギュウに詰め込んだ動物ウンチ雑学本なんて、この本だけじゃないでしょうか。
最初から最後までひたすら、ウンチ、ウンチ、ウンチ!ウンチの話題で埋め尽くされています。巨体ゾウの大迫力ウンチ。オタマジャクシの命を守るウンチ。イリオモテヤマネコの生態調査にかかせないウンチ。 カバはウンチ飛ばし+ウンチまき散らしの二刀流?惚れた雌にオシッコをかける迷惑野郎はだれだ?ナマケモノが怠け者でなくなるとき?中国料理の珍味中の珍味「蚊の目玉料理」って実はウンチ?
どこまでも明るく楽しく、ウンチが語られていますが、中に「あ」という思う文章もあります。
ボルネオでは、オランウータンのすむ森を売って、日本からほとんどの生活必需品を買っていたのである。 page168
化学肥料はそのときは効くが、土質はどんどん悪くなる。昔はどこの農家でもウマを飼っていて、厩肥をつくり、それで畑をやっていた。作物に病気がでることはなかった。化学肥料が病気を起こすんだ。 page282
世界流通市場は、新型コロナCOVID-19によるパンデミックで大きな打撃を受け、ロシアによるウクライナ侵攻でさらなるダメージをこうむりました。食料がある地域ににはありあまっているのに、輸送ができない。結果、食料価格が高騰し、中には飢える国まででてきてしまいました。
この問題、「食料そのもの」だけではないんですよね。化学肥料も多くが外国産です。そして現在の作物は品種”改良”が進んで、大量の肥料を与えなければまともに育たないものが多いのです。 動物は、食べたら出すが大基本。食べるためには出さなきゃならない、出さなければ食べられない。どうしても出てくるものであれば、このウンチ、もっと活用すべきではないでしょうか。江戸時代のように・・・?
この本は、初稿が1992年刊行と前世紀の本ではありますけれど、SDGsが叫ばれる令和の今こそ「ウンチ」をもっと良く知るべきじゃないかと、読んでいて思いました。こんなに面白いウンチ、いろいろと役に立つウンチ、ウンチについての蘊蓄(うんちく)がこれでもかと並べられた本、そして何より、動物と暮らしていれば絶対に避けられないウンチとの付き合い、いえ、人である以上、動物と暮らしていなくても、日々必ず付き合わなければならないもの、それがウンチ(とオシッコ)。 避けてどうする?もっと積極的に付き合おうよ!
面白いですよ~
おすすめ!
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
目次(抜粋)
- 文庫版まえがき
- まえがき
- 第一章 ウンチの大いなる魅力
- 第二章 ウンチで始まりウンチで終わる
- 第三章 ウンチとオシッコは愛のメッセージ
- 第四章 ウンチは捨て身の護身術
- 第五章 トイレづくりの生態学
- 第六章 ウンチは栄養がいっぱい
- 第七章 ウンチは地球環境を保全する
- 動物名索引
著者について
今泉忠明(いまいずみ ただあき)
著書に『地球絶滅動物記』、『タヌキは本当に狸寝入りするか?!』、『進化を忘れた動物たち』など。 (著者プロフィールは本著からの抜粋です。)
『物たちの可愛いウンチ』
- 著:今泉忠明(いまいずみ ただあき)
- 出版社:株式会社講談社 講談社+α文庫
- 発行:1997年
- 初出:1992刊行『イヌはそのときなぜ片足をあげるのか』を改題・再編集
- NDC:480(動物学)
- ISBN:9784062561914
- 290ページ
- モノクロイラスト
- 登場ニャン物:イリオモテヤマネコ、ほか
- 登場動物:多数