木村喜久弥『ねこ』

木村喜久弥『ねこ』

 

昭和29年発行の猫本が今読んでも情報豊か。

私が持っている本は1973年版。今は改装版の1986年版が出ているらしい。

この本が最初に書かれたのは木村氏の自家限定版で昭和29年(1954年)。法政大学出版局で最初に出版されたのは昭和33年(1958年)だそうだ。つまり半世紀以上も前に書かれた本である。

そのことを念頭においた上で読むべきだと思うので、長々と年代を書いた。というのも、50年以上前と今とでは、猫に関する理解も知識もかなり異なってきた部分があるからである。この本に書かれている内容のうち、一部分はすでに“少々古くなってしまっている”のは事実だ。

だからといってこの本の価値が減少するわけではない。むしろ50年も前に、猫専門家でもない人が、これだけの著作を残したというだけですばらしい偉業だと思う。読んでいて、猫好きな方なんだなあと思う。猫好きでなければ病身の身でこれだけの猫資料を集められないだろう。

内容は、ネコの語源、ネコの歴史、ネコの種類や五感、なぜ雄の三毛猫は少ないか、ネコと芸術・絵画・郷土玩具、ネコの迷信、法律など、多岐にわたる。たとえばこの「なぜ雄の三毛猫は少ないか」などの章は、遺伝学がまだ今ほど発達していなかった時代であるから、上で“内容が少々古いところがある”と書いたのである。しかしこれは仕方ないことだ。当時としては最先端の知識だったに違いない。猫の郷土玩具や芸術に登場する猫の話など、何年たっても古くなりようのない話題も勿論多い。

魅力的な雰囲気のある本だと思う。木村氏と一緒に、“少し前の猫好き”の気持ちになって、猫をしっとりと楽しんで頂きたい。

(2005.2.16)

木村喜久弥『ねこ』

招き猫なども

木村喜久弥『ねこ』

子猫と子ネズミが並んでお乳を吸う、当時有名だった写真

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『ねこ』
その歴史・習性・人間との関係

  • 著:木村喜久弥 (きむら きくや)
  • 訳:姓名(ひらがな)
  • 出版社: 法政大学出版局
  • 発行: 1973年
  • NDC : 645.6(畜産業・家畜各論・犬、猫)
  • ISBN : (9784588762017)
  • 300ページ
  • 登場ニャン物 : 多数
  • 登場動物 : ―

 

目次(抜粋)

  • 序・・・医博 高橋功
  • 第一部 ネコの語源
    • 「猫」の字の由来
    • ネコを意味する各国語
    • その他
  • 第二部 ネコの歴史
    • ネコの始祖
    • 古代エジプトの家猫
    • その他
  • 第三部 ネコの習性と知能
    • ネコ科の動物
    • ネコの分布
    • その他
  • 第四部 ネコと人間
    • 人間の伴侶
    • ネコを愛する人たち
    • その他
  • あとがき

 

著者について

木村喜久弥 (きむら きくや)

1921年静岡に生る。1942年慶応義塾大学経済学部卒業、ひきつづき45年まで同大学大学院でアメリカ経済史と中南米古代文化を研究。1959年死去。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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木村喜久弥『ねこ』

8.8

猫度

10.0/10

お役立ち度

8.0/10

情報度

9.0/10

おすすめ度

8.0/10

プラスポイント

  • 猫のことを網羅してある

マイナスポイント

  • 今読むとちょっと古いかなあ

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