大山淳子『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』

大山淳子『猫弁』

「猫弁シリーズ1」。

あらすじ

百瀬太郎、39歳、独身。職業は弁護士。東大首席の天才的頭脳の持ち主だが、人が好過ぎる上に、ごつい黒ぶちの丸眼鏡+くせの強い前髪+安っぽいスーツで、彼女いない歴=年齢を更新し続けている。

以前は大手弁護士事務所に所属していた。が、あの有名な「世田谷猫屋敷事件」をひとりでまるく解決してしまったため、以後、ペット関連の相談が殺到するようになったが、ペット訴訟なんて儲からない。大手弁護士事務所は事実上クビとなった。

独立してからも、ペット関連の相談ばかり。それだけでない。事務所には行き場を失った猫たちがぞろぞろ。ついたあだ名が「猫弁」。

百瀬は婚活にも精を出していた。もう3年も相談所に通っている。お見合いまでこぎつけた相手は30人。断られた回数も30回。

そんな百瀬のところに、奇妙な依頼が舞い込んだ。葬儀場から霊柩車が死体ごと盗まれたという。決して警察には知らせずに、事件を解決してほしい、と。

大山淳子『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』

感想

なんともあたたかいミステリーです。殺人も暴力も流血もありません。ユーモアあふれる展開で、でも奥に一筋の悲しさというか淋しさが流れているような。しかしそんな淋しさも誰かがしっかり支えてくれているような。最後は全員がまぁるく笑顔に収まります。・・・収まりすぎて、ちょっと作りすぎな感もなきしにあらずではあります。が、それでいいのです、なんせ「お話」、フィクションですから。おとぎ話を読むときのように素直な気持ちで読んでください。

でも、一箇所だけ「?」な場所があります。

(前略)しかし勤務して一週間でわかった。なぜこの事務所に七重の席があったのか。みな一ヵ月でやめていくのだ。
七重が入ったときに五匹いた猫が、今では十一匹である。百瀬の性格からすると、これからも増えるに違いない。結局事務員は猫の世話に追われる。あけても暮れても猫のエサとシモの世話だ。抜け毛も大量に落ちるので、掃除機は一日二回、さらにコロコロと呼ばれるローラー式粘着ペーパーでソファや服に付いた毛を取らなければならない。法律事務所の正規雇用という募集広告を見てやってくる人間は、がっかりするのに一日あれば充分で、すぐにこの事務所に見切りをつける。
page 58-59

いやいや、私なら大喜びで「事務員として」務めさせていただきますぞ。私だけじゃない、そういう猫好き事務員は多いでしょう。求人広告にひとこと猫のことも書いておけば、最初から猫目当ての有能な事務員だってきてくれるのではないでしょうか。

と、猫はいたるところに出てきますが、猫が活躍する場面はありませんでした。その点が一般の猫探偵物とは違います。猫はそこにいるだけで、ストーリーに絡んでくるとか、まして推理力で主人公たちを助けるようなことはしません。

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まとめ:大山淳子「猫弁」シリーズ

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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著者について

大山淳子(おおやま じゅんこ)

2006年、『三日月夜話』で城戸照入選。2008年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。2011年、本作で第3回TBS・講談社ドラマ原作対象を受賞。
(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)

『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』

「猫弁」シリーズ1

  • 著:大山淳子(おおやま じゅんこ)
  • 出版社:株式会社講談社 講談社文庫
  • 発行:2012年
  • NDC:(日本文学)小説 
  • ISBN:9784062772211
  • 377ページ
  • 登場ニャン物:モー(モーツアルト)、レオナルド、ポール・アンカ、テヌー、シルビーヌ・アイザッハ・シュシュ、タマオ
  • 登場動物:-
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