瀧澤美恵子『ネコババのいる町で』
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実の母に捨てられたショックで失語症になった幼女は。
アメリカで育った「わたし(=恵里子)」はある日突然、ひとり日本に帰される。
まだ3歳という幼さで、日本語も話せないというのに。
日本では祖母と叔母が「わたし」の面倒を見てくれた。
が、複雑な家庭事情のもとで育った「わたし」は声が出なくなっていた。
そんな「わたし」をありのままに受け入れてくれたのは、隣に住んでいたネコババだった。
ネコババは、猫好きなところからそう呼ばれていた人であった・・・
生きた猫はほとんど活躍しません。
ネコババ自身も、あまり活躍しません。
なので、猫本と言えるかどうかは微妙なところですが、ネコババの家が、‘ありのままの自分’を受け入れてくれる居心地の良い場所として描かれており、猫という動物を受け入れられる人は他人の子もありのままに受け止められるのだろうな、と、妙に納得できるところがあります。
恵里子は、生みの母からも、本当の父からも捨てられた子で、祖母や叔母も最初は恵里子を厄介者扱いしていました。
どこにも居所のない恵里子にとって、赤の他人であるネコババの家こそが、一番気兼ねのない場所だったのです。
(2004.04.21)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ネコババのいる町で』<
- 著:瀧澤美恵子(たきざわ みえこ)
- 出版社:文芸春秋・文春文庫
- 発行:1990年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:4167172038 9784167172039
- 266ページ
- 登場ニャン物:・・・(無名)、外猫達
- 登場動物:-
目次(抜粋)
ネコババのいる町で
神の落とし子
リリスの長い髪
解説 藤田昌司