赤川次郎『三毛猫ホームズの安息日』

赤川次郎『三毛猫ホームズの安息日』

 

バラバラ殺人事件、ならぬ、バラバラ活躍事件!?

片山義太郎。警視庁捜査一課の刑事。
片山晴美。義太郎の妹でふつうのOLだけど兄より事件大好き。
石津。目黒署刑事。自称晴美の恋人。
そして、お馴染み、三毛猫ホームズ。上記3人の人間達を合わせたより賢い雌猫。

いつもは、この4名、一緒に行動しているのだが、今回は全員が別行動。
しかも、全員がそれぞれ事件に巻き込まれる。
殺人死体を見つけてしまったり。
殺人犯をおいかけていたはずが人質になってしまったり。
うっかり人違いから強盗殺人の犯人側に巻き込まれてしまったり。
ヤクザから逃げるため一家心中を決心した気弱な一家を守ったり。

発端は、義太郎の宝くじが当たったことだった。
といっても、捜査一課10人で購入した1枚が少額当選しただけだ。
それでも、10人で分けても、家族のホテルディナー代くらいにはなる。
義太郎は、捜査一課長の栗原警視を誘い、プラス、いつものメンバーで、豪華な食事を計画したのだが。

レストランに向かう途中で、上記の通りそれぞれが、ドッタンバッタンの大事件に巻き込まれる。

一番メチャクチャしたのは晴美で、一番疲れ果てたのは義太郎、一番腹を空かせたのはいつも通りに石津。
そしてもちろん、一番人助けしたのは、三毛猫ホームズ。
猫ながら、人間の命を3人、もしかしたら5人も救うことに寄与したのだから。

それにしても、赤川次郎さん。
それぞれ単独の一冊になりそうな事件を、4つも絡ませて、まあ盛沢山というか、・・・
K氏の「グイ〇・〇ーガ」なら同じストーリーで楽に8冊分書けちゃうよ?
(「グイ〇・〇ーガ」引き伸ばしすぎですよねえ?テンポが遅すぎて、ほとんど「ガラ〇の仮面」状態・・・あ、グイ〇の方は、文句たれつつも、全作全部読んでいますけれどね。にゃは)

4名それぞれに4つの事件を同時進行、という構想は面白いのだけど、1冊に押し込んでしまっているので、それぞれの掘り下げが浅いのはやむを得ないでしょう。
長編形式の短編集だと思って読むべき作品かも。

(1997年11月3日)

三毛猫ホームズシリーズ

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『三毛猫ホームズの安息日』

  • 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
  • 出版社:光文社 光文社文庫
  • 発行:1997年
  • NDC:913.6(日本文学)推理小説
  • ISBN:4334724949 9784334724948
  • 310ページ
  • 登場ニャン物:ホームズ、ミケ
  • 登場動物:-

 

目次(抜粋)

  • 本編
  • 特別対談 赤川次郎・岩崎ひろみ

 

著者について

赤川次郎(あかがわ じろう)

福岡県福岡市博多区出身。1996年度より金沢学院大学文学部客員教授。父親は元満洲映画協会、東映プロデューサーの赤川孝一。1976年「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞、1980年『悪妻に捧げるレクイエム』で第7回角川小説賞、2006年第9回日本ミステリー文学大賞、2016年『東京零年』で第50回吉川英治文学賞を受賞。多作で知られ、2015年には580冊を突破、累計発行部数は2015年時点で3億3000万部を超えている。三毛猫ホームズシリーズ、三姉妹探偵団シリーズ、幽霊シリーズ、吸血鬼シリーズ他、シリーズ物も多い。

三毛猫ホームズシリーズ

(著者プロフィールはWikipedia他からの抜粋です。)


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