『ブラックウッド傑作選』

『ブラックウッド傑作選』

 

夏の夜におすすめな恐怖小説集。

ブラックウッド(1869-1951)は、イギリスの小説家。ドイツの寄宿学校で学んだり、カナダに渡って牧場を営んだり、アラスカのゴールドラッシュに加わったり等々、波乱に満ちた生涯のあと、新聞記者になり、そこではじめて自分の文才に気づく。
以後、イギリスに戻って小説家に転向し、怪奇幻想小説を次々と発表する。

この短編集で、猫が関係する作品はふたつ。
『いにしえの魔術』と『屋根裏』である。
『いにしえの魔術』は、ある旅行者が、フランスの片田舎の不思議な町に迷い込んだときの話。
そこはなんとも魅惑的で、官能的で、そして、猫的な町だった!
ブラックウッドの傑作のひとつだそうだが、日本人ならきっと、萩原朔太郎の『猫町』を連想するに違いない。
ジョン・サイレンス博士シリーズの中の一作。

『屋根裏』は、ジュラ山脈の中にある、森に囲まれた村の話。
その夜は、幼い少年の1周忌だった。とても優しい子だったのに・・・。風が戸を鳴らす。
と、猫のリケットが、部屋の中に入ってきた。少年の愛猫だった。
リケットに招かれて、私たちは、屋根裏へ登った・・・
猫以外の動物が描かれているのは、『黄金の蠅』『犬のキャンプ』の2編。

『黄金の蠅』は、著者の神秘的な体験、というより、東洋的悟りを語った、ごく短い作品。

『犬のキャンプ』は、いかにもヨーロッパの作家らしいホラー短編。
超怪奇現象を、精神分析学で無理やり理屈っぽく科学的に(?)解釈しようとしているところが、今読めば少々おかしいのだが、当時は精神分析が流行っていたそうで、多分当時の人々には、斬新な作風と映ったのだろう。

上記以外に、『ウェンディゴ』という作品にもちょこっと言及したい。
シカ狩りの話だけど、シカは出てこない。
そのかわりに、ウェンディゴという、化け物が出てくる。これはインディアンたちに伝わる精霊だそうだ。
そして、ホラー作家・スティーブン・キングの『ペット・セマタリー』にも、ウェンディゴが出てくる。
それだけなら、たまたた同じ精霊が出てくるというだけだが、『ペット・セマタリー』は、生き返りを扱った作品である。このブラックウッドの作品の多くにも、生き返りや輪廻の思想が見られる。そして、輪廻の象徴のような存在としての「猫」(『いにしえの魔術』と『ペット・セマタリー』)。
どうしても、キングを連想してしまうのである。

(2011.8.12)

『ブラックウッド傑作選』

『ブラックウッド傑作選』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『ブラックウッド傑作選』

    『ブラックウッド傑作選』

  • 著:A.ブラックウッド Algernon Blackwood
  • 訳:紀田順一郎(きだ じゅんいちろう)
  • 出版社:東京創元社 創元推理文庫
  • 発行:1978年
  • NDC:933(英文学)短篇小説集
  • ISBN:4488527019 9784488527013
  • 368ページ
  • 原書:”The Camp Of The Dog And Other Stories”
  • 登場ニャン物:リケット
  • 登場動物:犬、ほか

 

目次(抜粋)


いにしえの魔術  Ancient Sorceries
黄金の蠅 The Golden Fly
ウェンディゴ The Wendigo
移植 The Transfer
邪悪なる祈り Secret Worship
囮 The Decoy
屋根裏 The Attic
炎の舌 Tongues of Fire
犬のキャンプ The Camp of the Dog

 


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6

猫度

5.0/10

面白さ

7.0/10

猫好きさんへお勧め度

6.0/10

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