『しっぽの声』第12巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

『しっぽの声』第12巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

「いいのよ、私が(仔犬の尻尾に輪ゴムを)巻いたのよ。血を止めて腐らせているの。」

尻尾が短い犬種は多い。ちょこんと切り株より短い尻尾をフリフリしようとしている姿は、見ようによってはかわいく見えなくもないけれど・・・

その短尾が実は生まれつきではなく、まだごく幼いときに人工的に切り取られたものであることを知っている人は意外と少ない。しかもその多くが、獣医師でもないブリーダーによる無麻酔切除だなんて!

ブリーダーの女性は満面の笑顔で言う。

「大丈夫大丈夫、

猟犬だった大昔から

ふつうにやってきたことだし。

(中略)

子犬は痛みを 感じないらしし、

かわいい形になったら 犬もうれしいじゃない?」

尻尾だけでなく、ドーベルマン等のピンと立った耳も、断耳しているから。切って形を整えないと、本来の「垂れ耳」になっちゃうから。ときには断耳のときに雑菌が入って耳が腐って落ちちゃうこともあるけど。

・・・って、オイオイ!

『しっぽの声』第12巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

私は短い尻尾がかわいいなんて思ったことありません。立った耳をカッコいいと思ったこともありません。小学生時代にすでに「断尾・断耳」のことを知ってしまったから。

たしかに昔、これらの犬種がもっぱら猟犬として活躍していた頃は、「断尾・断耳」は意味のないことではありませんでした。長い尾や耳は怪我をしたり凍傷になりやすく、また他の動物にも噛みつかれやすく、医療が未発達だった時代は、むしろ短く切り取っておいたほうが犬を守りやすかったのは事実です。でも今の家庭犬に「断尾・断耳」なんて不要だろ!短い尻尾を見るたびに人間の身勝手を見せつけられるようで、私は全っ然、好きになれません。可哀想を通り越して憐れだと思うだけ。ましてや犬自身が、自分の長いはずの尻尾や耳が切り刻まれている方が「かわいくてボク嬉しい!」なんて思うわけないだろが!大馬鹿たれが!

ほかには。

動物が好きで保護しているうちに、寄付金が集まったり注目されて人気者になった(気がした)りするようになり、そのうちに、動物保護が目的なのか金や人気取が目的なのかわからなくなり、さらに、金や人気取りのために動物を虐待までし始める人間。本末転倒もいいところ、恐ろしいですね!

『しっぽの声』第12巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

虐待、とまで行かなくても、支援を受けているうちに麻痺してしまう人は多いです。まだ手元に十分な資金があっても、なにかあるごとに「ご支援お願いします」と繰り返すようになってしまいます。さらにクラウドファンディングという手段が周知されると、お金を集めることに何の遠慮もないどころか、むしろ「良いことだ」とする人が増えてきた気がします。

昔の言葉で「坊主と乞食は3日やったらやめられない」というのがありますが、この場合の「坊主」とは、禅宗などの厳しい修行僧の事ではなく、乞食僧(こつじきそう)のことでしょう。それももちろん、良寛さんのように宗教的に厳格な乞食僧ではありません。昔はとりあえず頭を丸めて僧形をとれば、乞食(こつじき)したりお布施を貰ったりするのに都合が良かったのだろうと思われます。その「僧形」が現代では、下手すると「ボランティア」だの「○○活動」だのになりがちではいないか、というのが私の個人的な危惧ではあります。『しっぽの声』にはそういう本末転倒な愛護団体/人物が、何回もとりあげられています。

と、書いておきながら、矛盾するようですけれど。

動物保護にお金がかかるのは事実です。自己資金だけではやっていけないケースもごくふつうにあります。大事なのは、支援する側が、相手の活動内容をよく吟味して正しくお金が使われるかどうか判断すること。難しいですけれどね。でも大事なことです。よく見極めた上で支援してあげてください。

「第96話 新世界」に出てくる言葉にも大きく頷きました。なぜ家畜やペットの子どもには「仔」という字を使うか。

「これは世話をする人間よ。

家畜やペットは人間が野生から連れ出して

もう野生にはもどせない生き物。

人間の世界以外に生きる場所がないから

人間がそばで一生 面倒を見ないといけないわ。」

『しっぽの声』第12巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

そうなんです。それが家畜。猫を含めて!

多くの人間が「猫は野生のまま」と勘違いしています。実際には、野生ネコとくらべ、家畜化された現在の猫達の脳の中身は大きく変えられてしまっています。外から見えないだけで。だから「野良猫でいる方が幸せ」なんてことは絶対にないんですけれど。

有名な某猫写真家さんでさえ、それを理解していなかったりするんですよね・・・ため息。

『しっぽの声』第12巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩
『しっぽの声』第12巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

まとめ:『しっぽの声』作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

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目次(抜粋)

第89話 ルーシー法
第90話 マイクロチップ
第91話 かわいいカタチ
第92話 魔王の伝説
第93話 聞こえない色
第94話 動物実験
第95話 つつき順位
第96話 新世界

『しっぽの声』第12巻

  • 著:ちくやまきよし
  • 原作:夏緑(なつ みどり)
  • 協力:杉本彩(すぎもと あや)
  • 出版社:株式会社 小学館
  • 発行:2022年
  • 初出:「ビッグコミックオリジナル」2021年第11号、第13号~第19号
  • NDC:726(マンガ、絵本)
  • ISBN:9784098613083
  • 196ページ
  • モノクロ
  • 登場ニャン物:タマ、ほか
  • 登場動物:犬、ニワトリ、ほか
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