『しっぽの声』第3巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩
「行政が予算も人手も確保せず、(中略)殺処分ゼロの旗だけ振る・・・」
殺処分ゼロ。
誰だってそれを理想と思うでしょう。
動物愛護家の誰もが、それを夢見て頑張っているのも事実です。
でも、はたして、本当に可能なのだろうか・・・???
この第3巻では、「殺処分ゼロ」の問題が深く掘り下げられています。
日本に住む人間全員を啓蒙することは不可能です。どうしても犬猫を捨てる人が出てくる。捨てられた動物は、過酷な状況の中でも必死に生きていきます。野良犬野良猫とよばれている間はまだマシかもしれません。野良犬が野犬化すると・・・
当然、保健所に連絡がいき、捕獲され、そして、人馴れしていない野犬は殺処分されてしまいます。
しかし、それでは永久に「殺処分ゼロ」にはなりません。ゼロにするには、どんな犬でも税金で終生飼育するか、でなければ、・・・
理想に燃える保護団体がありました。白道市大動物保護サークル「アニマリンガル」の若い学生たちでした。
「でも私たち『アニマリンガル』はあなたたち大人とは違うんです!」
「多くの保護団体が白道市の保護動物を見捨てていきました。
でも私たちには学生だからこその強みがあります!
情熱や行動力、決して命をあきらめない希望が!」
page64
行政が殺処分ゼロを歌うなら、本来ならば、ボランティアに頼らず、行政内だけで解決すべき問題なのです。それなのに。
(天草)「行政が予算も人手も確保せず、大量に引き取ってくれる団体に何もかも丸投げして、殺処分ゼロの旗だけ振る・・・
そりゃあ破綻するぜ。」
(学生)「動物を思う強い気持ちがあればできると思ったんです。でも、もう限界で・・・」(中略)
(天草)「散歩もさせず、ただ生かしているだけの殺処分ゼロ・・・
アニマルホーダーと何が違う?こいつは飼育放棄だぜ!」
(学生)「(中略)俺はほんとにバカでした!」
page166-167
破綻したブリーダーや保護団体の動物たちが最終的に行きつくところ、それは、・・・「引き取り屋」。
もとはといえば全て、無責任に飼って増やして捨てた一般飼い主が悪いのですが。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『しっぽの声』
第3巻
- 作画:ちくやまきよし
- 原作:夏緑(なつ みどり)
- 協力:杉本彩(すぎもと あや)
- 出版社:株式会社 小学館
- 発行:2F9784091897039年
- 初出:「ビッグコミックオリジナル」2018年大4号~第11号
- NDC:726(マンガ、絵本)
- ISBN:9784098601424
- 213ページ
- 登場ニャン物:多数
- 登場動物:犬、ほか
目次(抜粋)
- 第16話 殺処分ゼロの岸
- 第17話 権利と責任
- 第18話 届かない声
- 第19話 頼みの綱
- 第20話 迷い猫
- 第21話 コンクリートジャングル
- 第22話 殺処分廃止の先
- 第23話 パンドラの箱