『しっぽの声』第9巻 作画:ちくやまきよし、原作:夏緑、協力:杉本彩

『しっぽの声』第9巻 作画:ちくやまきよし

「獣医さんたちがみんな手術をことわったのって・・・これって、いけなかったんですか?」。

あまりにも無知な、自称ブリーダー。「科学的な根拠を理解できる頭」も、「動物を守るために理解しようとするハート」も持たず、なまかじりの「いい裏ワザ」を疑いもなく信じ込んで、自分が詐欺や虐待に加担していることに気づいていない。そんなバカブリーダーを取り扱ったのが、最初の2話です。

『しっぽの声』第9巻 作画:ちくやまきよし

それがどのような「詐欺」「動物虐待」であったかは、あえてここには書きません。どこかの同じようなバカが、うっかりこのページの”そこだけ”を読んで真似なんかしたら大変ですからね!

本なら良いんです。興味のある人がお金を出して買い、最初から最後まで読むのがふつうだと思いますし、通して読んでさえくれれば著者の意図は十分に伝わる(はず)です。

でも、インターネットはね?

検索で自分がほしい情報だけを、ピンポイントでつまみだして、他の部分は読まない、もっと重要な部分があることにすら気づかない、それがネットの検索というもの。だからウッカリしたことは書けません。

つぎは、新型コロナ、covid-19パンデミックと動物達の話です。

Covid-19が人間以外の動物たち、ペットの犬猫にも感染する場合があるというニュースは、あっという間に世界中に広がりました。その結果、一部の飼い主がパニックにおちいり、多くのペットが捨てられたり殺されたりした悲劇は御存知の通りです。感染可能なのは「ヒト→イヌ・ネコ」であり、その逆、「イヌ・ネコ→ヒト」の感染はないとされているにもかかわらず。(2021年8月8日現在)

作品にも、そういう男が登場します。ペットのネコからヒトに新型コロナが感染すると思い込んで、いきなり孫の愛猫をマンション上階から投げ落とそうとする男。

『しっぽの声』第9巻 作画:ちくやまきよし

また、猫の保護活動に熱心だった社長の会社が、コロナ禍で倒産、自己破産に追い込まれてしまったケース。営業自粛が続く中、なんとか持ちこたえようと奮闘する保護猫カフェ。愛護団体は里親会が開けなくなり、保護場所も満杯で、これ以上はもう猫を引き取れない。どれほど心苦しくても。

「切り捨てじゃなく、少しでも多くの命を救うためのトリアージだぜ。 パンデミックが収束すりゃ、受け入れを再開できす。 だが動物保護センターやシェルターが飼育崩壊を起こしたら、永遠に受け入れ再開できなくなる。 そいつは一番さけたいパターンだからな。」 (page61)

最悪よりはちょっとましなほうが、まだいい。動物を愛する人々の、ギリギリな闘いが続きます。

つぎは、安易に野生動物をペットにしたがる人の話。ひとりで飼うだけでもよくないことですが、まして繁殖して販売しようなんて行為は、決してあってはならないことです。

『しっぽの声』第9巻 作画:ちくやまきよし

第70話「ダークヒーロー」の話は、ちょっと笑いました。邪魔者・害鳥として嫌われるカラスをあつかった作品。厄介者ではあるけれど、意外と日本人の役にもたっている?

すくなくとも、私には、カラスはめちゃくちゃ役に立ってくれました!だって、瀕死の状態で路上に横たわっていた子猫へ私を導いてくれたのは、ほかならぬカラスだったんですもの。もしあの時、あのカラスが、あんな変なダンスで教えてくれなかったら、私は決して虎太郎に気づかなかっただろうし、虎太郎は、捨てられ、車に片腕をもぎ取られ、灼熱の太陽に照りつけられて、ひとり無残に、アスファルトの上で息絶えていったことでしょう。ああ、今思い出しても、そんなの耐えられない!こんなに愛らしい、かわいい猫なのに。どこのどいつだ、いたいけな子猫を捨てた奴は!ひき逃げした奴は!カラス様、私にとっては、あなたこそヒーローです。ダークヒーローではなく、神々しいヒーローです。

このマンガは、犬猫だけでなく、野生動物たちもひろく扱っているのが良いですね。老若男女、動物が好き嫌い関係なく、人類すべてに読んで考えてほしいマンガです。

⇒まとめ:ちくやまきよし画『しっぽの声』

『しっぽの声』第9巻 作画:ちくやまきよし

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

目次(抜粋)

  • 第64話 ティーカップの中の命(上)
  • 第65話 ティーカップの中の命(下)
  • 第66話 ペットとコロナ(上)
  • 第67話 ペットとコロナ(下)
  • 第68話 新規の客
  • 第69話 野生のディスタンス
  • 第70話 ダークヒーロー
  • 第71話 夏の塩分補給

『しっぽの声』第9巻

  • 作画:ちくやまきよし
  • 原作:夏緑(なつ みどり)
  • 協力:杉本彩(すぎもと あや)
  • 出版社:株式会社 小学館
  • 発行:2021年
  • 初出:「ビッグコミックオリジナル」2020年第8号~第10号、第12号~第16号
  • NDC:726(マンガ、絵本)
  • ISBN:9784098610310
  • 196ページ
  • モノクロ
  • 登場ニャン物:るる、ほか
  • 登場動物:犬、カラス、バッタ、ほか
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