映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

 

動物達の森と絶滅危惧種のクマを救え!。

ドクター・ドリトルは、動物と話ができる医者だということが動物界に知れ渡り、ドクターの家の前には連日、動物達が長蛇の列をなすようになった。ドクターは多忙を極め、家族とはすれ違いの日々が続く。思春期真っただ中の長女とはケンカばかり。

そんなある日、森の動物達から依頼が来た。

ある大規模な森林開発を中止させてほしい、と。 自然が破壊されたら、動物達は生きていけないと。

ドクターが見に行くと、すでに山の斜面が広い範囲に渡って皆伐され、無残な姿をさらしていた。

最初は「自分は医者だ、自然保護は保護活動家たちの仕事だ」と乗り気でなかったドクターだが、破壊されつくした山の姿に、ドクターは立ち上がる。大規模開発阻止の大プロジェクトが開始される。

政治家とつるんだ大企業の計画を、一個人にすぎないドクターが阻止するにはどうしたらよいか。

それには、その森林に、貴重な生物が生息していることを立証するのが手っ取り早い。

そして、そういう生物はいた。「パシフィック・ウェスタン・ベア」という、絶滅危惧種で、全世界で野生の個体はその森にすむ雌1頭だけだという。ところが企業側は、雌一頭だけでは生殖できないから保護の必要もないという。

幸い、サーカスにもう一頭のパシフィック・ウェスタン・ベアが存在していることが判明した。ドクターは、この雄アーチーを野生に戻し、雌とつがいにすれば、山を自然保護区にできると張り切る。

しかし、アーチ―は根っからのシティーボーイ、否、シティーベアだった。自然の中で生きる術なんて、何一つ知らない。知っているのは、歌を歌って踊って人間に媚びること。好物はアイスクリーム。

そんな都会派男をどうしたら野生に戻せるか?ドクターと、大きな雄グマの、ドタバタ喜劇が始まる。

映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

*   *   *   *   *

大人気「エディー・マーフィ ドクター・ドリトル」の続編。

1作目も、命の貴重さをテーマにした作品だったが、この2作目はさらにその色合いが強い。個々の動物たちの命だけじゃない、生態系全部を含めた大自然そのものを守ることが大切なのだと訴えている。エディ・マーフィのマシンガントークも抑え気味というか、テーマの大きさに、さしものエディ・マーフィでさえ圧倒されているかのようだ。ちょっと大人しい感じがする。だから軽快なマーフィが好きな人には、物足りないかもしれない。動物映画なだけに、お子様向けだと思うかもしれない。

そして実際、お子様向けだとは思う。小さな子供達なら、動物達が出てくるだけで楽しいだろうし、背後の黒い政治や拝金主義は、子供達には理解しにくいかもしれない。

けれども、こういう映画を、子供のうちに何回も見ることで、無意識の底に、自然を守る大切さをしっかり刻みこんでほしいものだと、私は強く願うのである。面白くて楽しくて、教育上も大変よろしい。私の基準では「推奨映画」だ。「動物が喋る映画なんておとぎ話」と片づけないで、大人こそ本気で見てほしい、そして、まじめに考えてほしい。

2015年8月11日付けの英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に、「現在は6度目の大量絶滅期を迎え、人類を含む全ての種が危機にさらされている」という内容の研究が発表された。地球に起こった過去5回の大量絶滅では、地上の生物種の実に70~90%が絶滅している。今地球が置かれている環境は、80%以上の生物が絶滅した三畳紀末の環境に良く似ているという。そして、現在進行中の絶滅の速度は、過去のどの大絶滅とも比較にならないほど高スピードだという。

大絶滅がおこるとき、優勢種だから生き残れるとは限らない。むしろ、優勢種ほど大打撃をうけるようだ。三葉虫、アンモナイト、恐竜たち。我々人類も同じだろう。人類には知恵があるから大丈夫?いまだに風邪ひとつ治せず、原子力なんてもてあそんでみたが廃炉の方法もわからず、テロだ制裁だと殺し合いに忙しいのが人類。そもそも、今日食べた食料も、飲んだ薬も、移動したエネルギー源も、すべて自然に頼っているのだ。その自然が壊れたら人類が生きていけるわけないじゃないか。

エディ・マーフィのドタバタコメディを、堅苦しく語りすぎだと怒られるかもしれない。けれどもここは「猫/動物愛護サイト」。色々なコンテンツを置いてはいるけれど、根っこはあくまで「猫/動物愛護サイト」。

猫達や動物達を保護し愛護するということは、彼らだけの為ではない。めぐりめぐって、自分たち人類を守り地球を守ることにつながるのだ。地球に知的生命体が生息しているのは、本当に幸運なことなのである。物理学的にみれば、とんでもないほどラッキーな惑星、たまたまな偶然が積み重なった結果に過ぎないのである。宇宙に星は、それこそ無数にあれど、ゴルディロックスゾーン(生命の進化に適した領域)にある星はごく限られている。物理学が進化すればするほど、地球がどれほど稀有な惑星であるかが証明されるばかりだ。

人類には、せっかくの「知能」があるのだから、その知能をフル活用して、自爆テロや長距離ミサイルなんかに無駄遣いせず、我々のかけがえのない地球を、もっともっと大事に大切に扱ってほしいと、心の底から願うのである。

(2016.2.10.)

映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

キャスト:エディ・マーフィ、クリスティン・ウィルソン、ジェフリー・ジョーンズ、ケヴィン・ポラック、他。
監督:スティーブ・カー
原作:ヒュー・ロフティング「ドリトル先生」
本編:88分
登場動物=ラッキー(犬)、アーチー、エバ(以上クマ)、オポッサム、アライグマ、ビーバー、アル中のサル、ハト、カメレオン、他多数

 


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映画『エディー・マーフィ ドクター・ドリトル2』

8.8

動物度

9.0/10

面白さ

9.0/10

猫好きさんへお勧め度

8.5/10

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