映画『おしゃれキャット The Aristocats 』
美しい母猫一家と、頼もしい野良の雄猫。
昔々、パリでのお話。
大金持ちのボンファミーユ老婦人は、猫達と暮らしていました。 母猫のダッチェスと、まだ幼い子猫たち、ベルリオーズ、トゥルーズ、マリーの3ニャンです。
ダッチェス(Duchess)とは、英語で「公爵夫人、女公爵」の意味です。母猫のダッチェスは、その名の通り、美しくて上品な貴婦人猫です。
ベルリオーズは灰褐色、お腹はグレイの男の子。猫ですが、ピアノを上手に弾きます。
トゥルーズはオレンジ色の、やんちゃな男の子。絵具と悪戯が大好き。
マリーは、おしゃまな女の子。お母さんと同じ白猫で、頭にも首にもリボンをつけています。歌が上手です。日本の子供達に人気のキャラでもありますね。
その他、お屋敷には、執事のエドガー、馬のフルーフルー、ネズミのロクフォールが住んでいました。動物達は全員が仲良しです。
さて、老婦人は、ある日、友人の法律家(すごいお年寄りだけど元気いっぱい)を、お屋敷に呼びました。 遺言書を作るためでした。
遺言書の内容は、「遺産はすべて、猫達にゆずります。猫達が死んだ後は、執事のエドガーに譲ります。」というもの。
それを盗み聞きした執事エドガーは、面白くありません。
エドガーは考えます。猫は12年生きるというぞ。しかも命を9つも持っていると聞くぞ。12年×9は・・・その前に自分が死んでしまうではないか!そんなに待てない!
強欲な執事エドガーは、猫達に睡眠薬を飲ませて、遠い郊外に捨ててしまいます。
甘やかされて育った猫たちは、途方に暮れます。野で生きる術なんて知りません。
そこへ現れたのが、頼もしい雄猫。本名:エイブラハム・ドレイシー・ジオセッペ・ケイシー・トーマス・オマリー、通称「野良猫オマリー」でした。
オマリーは、美しいダッチェスに一目ぼれ。親子をお屋敷に戻すために、大活躍します。マリーが川に落ちれば、猫なのに水に飛び込む勇気も見せます。自由で、陽気で、侠気に富んだ、男の中の男です。
猫達は一路、パリのお屋敷を目指しますが、もし無事に帰れたとしても、そこにはあの執事エドガーが待っているのです・・・
*****
40年以上も前に作られたディズニー映画。不朽の名作、と言ってよいでしょう。
私に言わせれば、これぞ正統派子供用アニメ。人が殺されたり、変に説教くさかったり、無理やりお涙頂戴だったりはありません。ハラハラするけど恐怖におびえることは無く、リズミカルで楽しい。大人がお金と時間をかけて一人で見に行くほどのストーリーではないかもしれないけれど、動物好きな人であれば、近所の子を誘ってわざわざ映画館まで出向いても、損はないと思います。音楽も、古き良き時代の旋律って感じで、懐かしいけど古臭いほどではなく、ミュージカルといってもよいくらいです。
この映画で唯一、古さを感じさせられたのが、自動車のエンジンの掛け方。車体の前から棒(ハンドル?)が突き出ていて、それをグルグル回してエンジンをかけていました。そういえば博物館でそんな車を見たなあ、たしか昔の電話もハンドルをグルグル回してかけるんだったわね、と、つい笑ってしまいました。それ以外は今見ても時代を感じさせません。
そして、大人の私が見て、何よりも気に入ったのは、子ども時代に見たときは、気付けなかったことでした。
老婦人は、最後に遺書を書き直します。相続人から執事エドガーの名を消すのは当然ですが、そのかわりに・・・パリ中の野良猫たちのための基金を設立し、広大なお屋敷を、野良猫たちに解放します♪
ブラボー、マダム・ド・ボンファミーユ!
(*Bonfamilleとはフランス語で「良い家族」という意味もあります。
ついでに、映画の題名「Aristocats」の意味はもちろん、「aristocrat =貴族、貴族的な人」のもじりニャンですにゃ♪)
(2015.2.22.)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
映画『おしゃれキャット The Aristocats 』
ディズニー アニメーション映画
1970年制作 本編約79分 子供用カラー・アニメ
制作/監督:ウフルガング・ライザーマン
音楽:ジョージ・ブランズ
登場ニャン物=ダッチェス、ベルリオーズ、トゥルーズ、マリー、野良猫オマリー、スキャット・キャット、他多数