船山信次『毒草・薬草事典』

船山信次『毒草・薬草事典』

 

副題:「命にかかわる毒草から和漢・西洋薬、園芸植物としてつかわれているものまで」。

毒と薬が紙一重であることは、世間一般によく知られていることです。
どんな薬だって、量や用法を間違えれば、毒となる。
毒と恐れられているものでも、使い方によっては、薬となる。

(前略)毒と薬の間に境界線を引くことはできないと結論している。したがって、毒草と思われている植物が場合によっては薬草になるし、あるいはその反対のことが起きることも十分にありうる。だから、植物を毒草と薬草とに単純にわけることは不可能である。
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なので、この本では、毒草か薬草か、という区別はしていません。
できませんから。
どんな成分を含み、それがどんな影響を与えるかが説明されています。

面白いのは、有毒成分あるいは有効成分の化学構造も示されていること。
その理由は

ただ、見ていただければわかると思うが、化学構造式の形はけっこう美しく、芸術かと思うほどである。約学者のはしくれとしては、その化学構造式の美しさも感じていただければうれしい。
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船山信次『毒草・薬草事典』

船山信次『毒草・薬草事典』

写真は、すべてカラー。
説明は、箇条書きとかでなく、文章で綴られている。紹介する植物たちも関連性があるように並べられ、いわば「物語性がある」。
このような書籍は、「見る」ことを目的とした「図鑑」となっているものが多いが、この本は「読む」ことに重点がおかれているようだ。

私たちの身の回りには、知らないだけで、実に多くの毒草・薬草があふれています。
我が身はもちろん、愛猫を守るためにも、どの草にどんな成分があって、どんな作用を及ぼすことがあるのか、知っておいて損はないでしょう。

船山信次『毒草・薬草事典』

船山信次『毒草・薬草事典』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『毒草・薬草事典』
命にかかわる毒草から和漢・西洋薬、園芸植物としてつかわれているものまで

  • 著:船山信次(ふなやま しんじ)
  • 出版社:SBクリエイティブ
  • 発行:2012年
  • NDC:471.9(応用植物学、有毒植物)
  • ISBN:9784797342697
  • 238ページ
  • カラー
  • 登場ニャン物:-
  • 登場生物:植物たち

 

目次(抜粋)

序章 毒と薬と植物
1 高等植物の分類
2 植物に含まれる化学成分
ほか

第1章 命にかかわる毒草・薬草
1 日本に自生する代表的な毒性の強い毒草・薬草
2 海外さんの代表的な毒性の強い毒草・薬草
ほか

第2章 意外な毒草・薬草
1 意外な強毒性を有する毒草・薬草
2 こんな植物にも毒がある
ほか

第3章 和漢薬・西洋薬と毒草・薬草
1 和漢薬として有名な植物
2 近代医薬を生みだすことになった植物
ほか

第4章 植物と毒草・薬草
1 よく食べるものだけど
2 甘味成分の得られる植物
ほか

第5章 園芸植物と毒草・薬草
1 園芸植物と毒草・薬草
2 草木染に使われる植物
ほか

おわりに
参考文献
索引

著者について

船山信次(ふなやま しんじ)

東北大学薬学部卒業、同大学大学院薬学研究科博士課程修了。薬剤師・薬学博士。天然物化学専攻。イリノイ大学薬学部博士研究員、北里研究所微生物薬品科学部長補佐、東北大学薬学部助手~専任講師、青森大学工学部助教授~教授などを経て、現在、日本薬科大学教授。米国のPharmaceutical Biology副編集長。日本薬史学会評議員。著書多数。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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船山信次『毒草・薬草事典』

6.5

生物度

9.5/10

面白さ

6.0/10

情報度

9.0/10

猫好きさんへお勧め度

1.5/10

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