金田一秀穂『人間には使えない蟹語辞典』

動物目線で考えた、おかしくも、ためになる辞典!
この本の特長は「はじめに」で語られている金田一秀穂氏の文章の通り。
生物としてのヒトの条件によっても、言葉は規制されている。私たちの目は、顔の表面に、二つ、横に並んでついている。目が向いている方向を前と言い、ついてない方向を後ろと言う。しかし、もし、片方の目が後頭部のあたりについていたら、どうなるか。たぶん、私たちの語彙から、前後を表す言葉は消える。でちらも前になってしまう。
ヒトの身体をもとにして言葉ができているとしたら、この生物的条件を持たないほかの生物は、どのような言葉を持つだろうか、ということから、この本が始まった。すなわち、たいへん哲学的、身体論的、認知言語学的に、高度な試みなのである。
ま、硬いことを言わずに読んでみてくださいな。
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金田一秀穂『人間には使えない蟹語辞典』
はい、ぜんぜんお堅くなんかありません。ウィットとユーモアにあふれた内容に笑っちゃいます。
たとえば・・・
「前向きに考える」は、カニ語訳では、当然ながら?「横向きに考える」。
「大船に乗ったよう」は、フジツボ語訳では「大船に貼りついたよう」。
「身から出た錆」は、アヤコガイ語訳で「身から出た珠」。
「濡れ手で粟」は、ではアリクイ訳ではなんとなるでしょうか?
この本が一冊あれば、電車の遅れも、歯医者の待ち時間も、楽しく過ごせます。

金田一秀穂『人間には使えない蟹語辞典』

金田一秀穂『人間には使えない蟹語辞典』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『人間には使えない蟹語辞典』
- 著:金田一 秀穂(きんだいち ひでほ)
- 出版社:株式会社ポプラ社
- 発行:2009年
- NDC:917(日本文学)箴言. アフォリズム. 寸言
- ISBN:9784591107171
- 189ページ
- モノクロ挿絵
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:-
目次(抜粋)
第1章 魚介類語編(前向きに考える カニ語訳 ほか)
第2章 哺乳類語編(決めゼリフ ザトウクジラ語訳 ほか)
第3章 鳥類語編(シンプル・イズ・ベスト クジャク語訳 ほか)
第4章 爬虫類・両生類語編(成人式 カエル語訳 ほか)
第5章 虫語編(親の七光り タマムシ語訳 ほか)
【推薦:まめまま様】
そのまま辞典です・・
が、思わずクスッとしてしまう内容です。
人間用のことわざの意味と用例のページの後ろに、
そのこわざを動物用にひねった言葉&その意味と用例という構成です。
たとえば人間用→腹八分目、が、シマリス用→頬八分目などなど・・
病院の待合室なんかで読むのに最高です(笑)
(2009.3.11.)
*サイトリニューアル前にいただいておりましたコメントを、管理人が再投稿させていただきました。