非日常実用講座11『ティラノサウルスの育て方』
あり得ないこと本気で!恐竜からニホンオオカミまで。
実に楽しい本です!
こういうお遊び系の本は、内容的にイイカゲンなものが多いと思われるかも知れませんが、どうしてどうして。
この本に書かれてあるのは、学術的に見てもおそらく、かなり確かなものと思われます。私はただの動物好きな素人ですから、専門家のような検証ができるわけではありませんが、この本はよく調べてあるなあと思います。
しかも、(本が出版された時点での)最新情報をきちんと調べてある。
恐竜学なんて日進月歩、昨日までの常識が今日覆るなんてザラにあることですけれど、1998年に出版されたこの本を今(2006年)読んで「これ、古い」と思う箇所がないのですから、実にスバラシイですね。単なる知識の寄せ集めではなく、情報収集の方向性も間違っていなかったということだと思います。
遊び系の本はパラパラとめくりながら斜め読みしちゃう場合が多いんですけれど、この本に限っていて言えば、一言半句まで全部読みました。読ませられました。
それだけの説得力がありました。
だって、夢じゃないですか。
あのティラノサウルスを育てる!
実に荒唐無稽ではありますが、読んでいるうちに「あるいはひょっとして」と、ウキウキ楽しくなっちゃいます。
他に肉食恐竜では、映画「ジェラシック・パーク」ですっかり有名になったヴェロキラプトルや、ステノニコサウルス、草食恐竜では勿論アパトサウルス・ステゴザウルス・トリケラトプスの、超人気恐竜たち。
恐竜だけではありません。
プレシオサウルスとプテラノドン、生物学的分類は「恐竜」ではないけれど、絶対に忘れて欲しくない大物達です。
ハンググライダーかパラグライダーのパイロットになれば、プテラノドンと一緒に大空を飛べますよね♪
マンモスが出てくると、妙に現実的に思えちゃうから不思議です。
もちろん、マンモスだって、いち素人が今すぐ飼えるような動物ではありません。が、マンモス復活プロジェクトは現実に進められようとしているのです。遠い将来なら夢ではないかも知れません。
始祖鳥よりは私はやはりプテラノドンですけれど。
モア、ドードーは読んでいるとちょっと哀しくなります。人間が絶滅させた動物たちだから。
シーラカンス、三葉虫、アンモナイトは、観賞用としては良いかも知れませんけれど、あまりスキンシップを楽しめそうにないので、私は飼う対象としてはあまり興味が持てないかも。
最後のしめくくりにニホンオオカミが出てきます。
私の個人的欲望としましては、ニホンオオカミを出すなら、もう一声欲しかったですね。ネコマタ、ツチノコ、それから、ニホンオオカミはニホンオオカミでも幻の大型タイプの方。
そう、ニホンオオカミに関しては、伝説があります。
ライデン博物館に現在スタンダード標本が保存されている「ニホンオオカミ」は、俗に「ヤマイヌ」と呼ばれていた小型タイプの方であり、それとは別に「オオカミ」と呼ばれていた大型タイプが存在していたのだといううわさ。
嘘か誠かは、絶滅してしまった今となってはわかりません。大型の「オオカミ」なんていなかった可能性の方が強いです。あるいはエゾオオカミ(これも絶滅種)ならニホンオオカミより大型ですから、それと混同された可能性も否定できないと私は考えています。
でも、どうせ、お遊びの書物でしょ?大型ニホンオオカミの方ならもっとカッコイイのに。あと、ネコマタもゼヒ。
でも多分、お遊び書物とはいえ、大型ニホンオオカミやネコマタは学術的には存在が否定されている動物たちですから、この本には出せなかったのでしょうね。
そんな姿勢も、この本の良いところです。
(2006.6.3)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ティラノサウルスの育て方』
非日常実用講座11
- 著:非日常研究会
- 出版社:同文書院
- 発行:1998年
- NDC:480(動物学)
- ISBN:4810375447 9784810375442
- 213+8ページ
- モノクロ
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:ティラノサウルス、ステノニコサウルス、ヴェロキラプトル、アパトサウルス、ステゴサウルス、プレシオサウルス、プテラノドン、マンモス、始祖鳥、ドードー、シーラカンス、アンモナイト、ニホンオオカミ、ほか多数
目次(抜粋)
まえがき
第1章 肉食恐竜の育て方
第2章 草食恐竜の育て方
第3章 首長竜、翼竜の育て方
第4章 マンモスの育て方
第5章 始祖鳥の育て方
第6章 モア、ドードーの育て方
第7章 シーラカンスの育て方
第8章 三葉虫、アンモナイトの育て方
第9章 ニホンオオカミの育て方
チャートで見る生物の絶滅と進化
あとがき―――今日の非日常は明日の日常
主要参考文献、取材・資料協力一覧
絶滅の危機にある日本の動物たち――日本版「レッドデータブック」より――