『獣医からもらった薬がわかる本』
薬の名前が分からなくても探せるヒントまで。
こういう本が出版されるようになって、私としてはとても嬉しい。
内容は書名通り、獣医が犬猫に処方する薬についての本である。
人間用の同様の本は以前からあったし、うちにも1冊あるけれど、犬猫用の本は初めてだ。
まず、薬の名前がわかっている場合の調べ方。
これは簡単だ。索引から引けばよい。
つぎに、薬の名前がわからない場合。
実はこれがけっこう多い。人間の病院では今は薬の名前や効能などすべて書面に書いて渡してくれるところが増えたが、動物病院ではまだ出してくれないところも多いだろうと思われる。
レシート(明細書)に薬品名が記載されていれば良い方。なんという名前のどういう薬品なのかの説明はないか、あっても口頭でちらっと言う程度、という病院はまだ多いのではないだろうか。私なぞ薬品名なんて、呪文同様に意味不明なもの、一度や二度口頭でいわれてもとても家まで覚えていられやしない、聞いたそばからスルリと忘れてしまう。
しかし、この本はそんな人間にも強い味方になってくれそうだ。
製品名がわからない場合は、薬を包んでいるシートや袋などの包装材料、または錠剤やカプセルの薬本体に印刷や刻印されている英数字やマークから調べることが出来ます。この英数字やマークなどの印は製薬会社が銘柄ごとにつけたもので、一般的に「識別コード」といいます。
そして識別コードの見方が詳しく説明されている。薬品名がわからなくても、識別コードから薬品名にたどり着けるようになっている。
それから、いざ薬の情報。
(1)イヌ・ネコに投与することができるか、ということをまず、アイコンで表示。
(2)成分名(一般名)=薬の科学的組成、使用目的、性質の基準などで分類された名称のこと。アスピリン、フィプロニル、など。
(3)薬効分類名=薬の成分、効能、用途などから分類された名称。強心剤とか、利尿降圧剤とか。
(4)製品名=薬を商品化するときにつける製品名。犬猫用に販売されている薬についてはアイコンでその旨を表示。アドバンテージ、フロントライン、など。
(5)処方目的=どんな症状や病気の時に投与されているか。イヌ・ネコだけでなくヒトについても書いてあるのが大変良い。
(6)注意したい副作用=おこる可能性のある副作用についてしっかり書いてある。一番ありがたい部分かも。
(7)投与するときに注意すること=妊娠中の猫には使ってはいけない、等々、投与してはいけない場合や、慎重に投与すべき場合について書いてある。
特に「注意したい副作用」がありがたい。
副作用について、通常、獣医師はあまり説明はしないし、また信頼できる情報の入手も素人には困難だ。
しかし相手は物言えぬ猫。
たとえば、嘔吐ひとつにしても、薬の副作用なのか、動物病院にいった緊張からから、それとも知らぬ間に何か盗み食いしたせいか、我々人間にはわからない。推測するしかない。
しかし推測するにしても、今まではあまりに情報が少なかった。これからは、まずこの本で調べることができる。
また、上記の通り、ヒトの処方目的についても書いてあるのもおもしろいと思う。
たとえば手元にある目薬。疲れ目用に使っている。もちろん、人間用。
で、この目薬の有効成分をこの本で調べてみると、あるある。L-アスパラギン酸カリウム=これは要するに栄養剤だったのね。マレイン酸クロルフェニラミン=これは抗ヒスタミン剤で、「蕁麻疹、血管運動性浮腫、皮膚疾患にともなう掻痒、アレルギー性鼻炎、上気道炎にともなうくしゃみ・鼻汁・咳」ってことは、要するに皮膚などの状態を健康にする薬ってことかな?などなど。
ところでこの本、出版されたばかりなのに、すでに品薄で手に入りにくくなっているようだ。ネット書店で調べると「在庫僅少」だの「絶版または重版未定」だの文字が目に付く。
興味のある人にはすごく役立つ1冊だと思うから、欲しい人は早急に手に入れておく方がよいかも?
(2007.6.27.)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『獣医からもらった薬がわかる本』
ノミ駆除薬から抗がん剤までの薬の効能・副作用・安全性がわかる
- 監修:浅野隆司(あさの りゅうじ)
- 訳:姓名(ひらがな)
- 出版社:(株)世界文化社
- 発行: 2007年
- NDC : 649(獣医学)
- ISBN : 9784418074129
- 343ページ
- 登場ニャン物 : -
- 登場動物 : -
目次(抜粋)
- ペットの健康のために薬を安全に使う
- 獣医からもらった薬の調べ方
- 薬の解説の読み方
- ペットの薬の与え方
- 識別コード索引の配列について
- 識別コード索引
- 成分別 薬の解説
- 製品名・成分名索引