『もっともくわしいネコの病気百科』
ネコの病気に特化した解説書。
“もっともくわしい”と題するだけあって、一般飼い主が手に入れられるネコの医学書としては、もっとも詳しく書かれた本のひとつ。
さくいんを入れれば450pの厚さ。イメージ的には、多くの家庭に常備されている「家庭の医学」のような本の、ネコ版と言ったところか。
人間用の医学書と違うのは、本論にはいる前に “ネコ・23の疑問にスピード回答” という章があって、ネコの由来や飼い方・薬の飲ませ方などが簡単に書いてあること、および “捨てネコ・殺処分・虐待・動物実験” という章が設けられていること。
それ以外は、4段組の活字構成といい、まさに「家庭の医学・ネコ版」である。
まずは “こんな症状が出たら” の章。
“元気がない/落ち込む/吐く/はげしく吐く/下痢をする”等々、34の症状の解説と、考えられるおもな原因があげられている。
それから、各病気についての記述。
“子ネコの病気と健康管理” “老齢ネコの病気と世話” “心の病気と問題行動” “感染症” “泌尿器の病気” “呼吸器の病気” “皮膚の病気” “目と耳の病気” 等々、22章ある。
そして最後に “ネコの病気の薬” の章、および、 “ネコの病気に使われる薬・一覧”。
今まで一般素人にはさっぱり解らなかった‘薬’の名前や効能が列記されているのは大変ありがたい。
比較的最近まで、ネコの医学書といえば、飼育書の後ろの方にのっている子供だましみたいな病気の説明くらいしか、我々素人の手には入らなかった。それを考えれば、すばらしい書だと思う。3400円は安くはないが、どうせ動物病院へ一回いけば、そのくらいのお金はすぐ取られてしまう。もらった薬の説明がされない場合も多い。
特に多頭飼いの家は、この本は常備しておいて決して損はないだろう。
というより、私の正直な気持ちを書けば、ネコと暮らす人なら全員が必ず買って欲しい本。
病気の事だけでなく、捨て猫問題や飼い主のモラルにまで触れてあり、単なる実用書の枠を越えていると思う。
なお、症状などはすべて挿絵で説明され、気持ちの悪い写真はいっさい載っていないから、気の弱い人でも大丈夫だ。
(2002.7.28)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『もっともくわしいネコの病気百科』
- 編:矢沢サイエンスオフィス
- 出版社: 学習研究社
- 発行: 2002年
- NDC : 649(獣医学)
- ISBN : 4054014747
- 443ページ
- 登場ニャン物 : -
- 登場動物 : -