こなみかなた『ふくふくふにゃ~ん』
古き良き昭和がつまった猫マンガ。
『ふくふくふにゃ~ん』が生まれたのは1987年。
昭和でいえば62年なんですね。もう昭和末期です。
でも、内容はまったくの、昭和レトロなんです。
いつも和服姿のお婆さん。
畳の部屋に、丸いちゃぶ台。
炬燵には四角い綿入れ布団が被さっていて。
縁側は第二の居間。
虫の声に、カエルの声、風鈴に、朝顔。
一話6ページ。
登場人物/ニャン物はわずかです。
人間は、お婆さん一人といってよいような状態。
猫は、ふくふく以外にも登場しますが、回数は少なく登場時間も短い。
漫画のほとんどが、お婆さんとふくふくの二人芝居のようなものです。
大事件なんて何もおこらない、何気ない日常のやりとり。
それなのに、それだけなのに、こんなにおもしろいなんて。
感動的ですらあります。
猫さんと暮らしている人なら、ふくふくの動作ひとつひとつに
「そうよね、そうなんだ」
と頷いてしまうでしょう。
どれも猫らしくて、自然で、平凡で、おかしい。
ふくふくの表情がまた、良いのですよね。
にまーと笑った顔、不満そうにホッペを膨らませた顔、不思議そうな顔、眠くてたまらない顔。
どれも、ほおずりしたくなるほど、愛らしいのです。
こなみかなたさんの表現力と観察眼に脱帽です。
『ふくふくふにゃ~ん』は、「Me」誌(講談社)で連載が開始されてから、「BE・LOVE」誌2017年3号[1]で完結するまで、途中1年ほどの休みはありましたが、約25年という長期に渡って連載されました。
最初に発行された単行本は、1巻2巻ではなく、「いの巻」「ろの巻」といろは順になっていたのが特徴。「い」~「を」まで発行されました。
でも私が所有している漫画本は、リニューアル新版のほう、巻数も数字です。
漫画文庫もあります。『こたつの巻』『ごはんの巻』『縁側の巻』『原っぱの巻』。
(2006.1.2)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ふくふくふにゃ~ん』
- 著:こなみかなた
- 出版社:講談社
- 発行:2005年
- NDC:726(マンガ、絵本)
- ISBN:9784063720808(1巻)
- 登場ニャン物:ふくふく、ほか
- 登場動物:-