短編集『魔法の猫』
ミステリアスな猫の短編集。
『跳躍者の時空』 フリッツ・ライバー
子猫ガミッチの天下だった家に、赤ちゃんが生まれた。実はガミッチは、自分はやがて成長したら人間になると固く信じている子猫だった・・・。
とても面白い小説だ。
こんなことを考えてる子猫は世に多いかもしれない。
『鼠と龍のゲーム』 コードウェイナー・スミス
SF。“竜”を退治するために猫が活躍する。
『魔性の猫』 スティーブン・キング
この話、実は原文でも読んだことがある。翻訳者には申し訳ないが、この小品の面白さは、誰が訳しても、多分、出しきれない。
キングの小説は、ストーリー自体はたいしたことなくても(ごめん)、文章そのものに独特なうねりがあって、それが読んでいる者の心をひっつかんで握りしめててグイグイ迫って引き込まれてしまう、そんな、特殊で独特な魅力がある。あのリズム、あの高揚感は、翻訳で出そうとしてもまず無理だろう。それは「吾輩は猫である」を “I am a cat” と訳した瞬間に下落してしまうのと同じ。だからといって他に訳しようもないし。翻訳者のせいではありません。あくまで言語そのものの問題。
なので、この話は、英語の分かる方は、できれば英語で読んでください。
内容的には・・・歳をとったら私も気をつけなきゃ、というような、内容だ(苦笑)。たとえ猫に何ら悪気がなくとも、ありえるだけに怖い・・・
『猫は知っている』 パメラ・サージェント
もし実際にこんなことが起こったら、世の中は大混乱におちいるだろう・・・さりげなく書いてあるが、あとで考えてしまう話だ。
『シュレディンガーの猫』 アーシュラ・K.ル・グィン
シュレディンガーは理論物理学者、これはその有名な“猫”の話、・・・ではない。が、“シュレディンガーの猫”の意味をしっていないと、この話は理解不能だろう。
『グルーチョ』 ロン・グーラート
グルーチョはある男の生まれ変わりであった・・・
『猫の子』 ヘンリー・スレッサー
けっこう好きな小品だ。ありそうであり得ない話だが、私は好こういうの、好き。
『猫に憑かれた男』 バイロン・リゲット
今現在の日本でも時々聞く話ではないか?多頭飼い崩壊現場、という名前で。
鬼気迫るような話だが、かなり真に迫っている。
『生まれつきの猫もいる』 テリー&キャロル・カー
これもSFの一種だろう。宇宙人や円盤がでてくる話。
『愛猫家』 ノックス・バーカー
安楽死の問題や、猫の9つの生の話、ペットロスなど、この話に解説をつけようとすれば色々あるだろうけれど、小説として単純に楽しんでください。
『ジェイド・ブルー』 エドワード・ブライアント
「時間を編集する装置」が発明されようとしていた・・・
『トム・キャット』 ゲリー・ジェニングス
遺産相続の為にある男が演じた芝居とは?
『ソーニャとクレーン・ヴェッスルマンとキティー』 ジーン・ウルフ
幻想的な世界。「キティー」とは、何者か?
『魔女と猫』 マンリー・ウェイド・ウェルマン
人語を話す力を手に入れた猫の話。
『古代の遺物』 ジョン・クロウリー
「不倫疫病」なるものがあるらしい・・・?
『ささやかな知恵』 R.シルヴァーグ&R.ギャレット
異星人を宿泊させることになった修道院で事件が。
『シュラフツの昼下がり』 G.ドゾワ、J.ダン&M.スワンウィック
しゃれた推理小説です。
(2003.5.6)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『魔法の猫』
magicats!
- 編:J・ダン&G・ドゾワ(Jack Dann, Gardner Dozois)
- 訳:深町真眞理子(ふかまち まちこ)ほか
- 出版社: 扶桑社ミステリー(文庫)
- 発行: 1998年
- NDC : 933(英文学:小説)
- ISBN : 4594024386
- 440ページ
- 原書 : ”MAGICATS!”; c1984
- 登場ニャン物 :ガミッチ、他多数
- 登場動物 : ―