ファリッシュ文/ルート絵 『ポテト・スープが大好きな猫』
村上春樹が一目惚れして翻訳した絵本。
この絵本は、猫好きな村上春樹氏が、
『ある日アメリカの街を散歩していて、偶然みつけた絵本』
です。
村上氏は
ぱらぱらとページをめくり、 「うん、これはいいや」と思って買って帰り、机に向かってそのまま翻訳してしまいました。
『訳者あとがき』より
この本は、おじいさんと、歳をとった雌猫のお話です。
ふたりは、テキサスの田舎に住んでいます。おじいさんは、典型的なテキサスっ子。過去には数えきれないほどの数の猫達とくらしてきました。
今は、この年老いた1頭だけです。おじいさんはこの猫を、とても気に入っているのですが、そんなそぶりは外にはみせません。
猫のお気に入りは、おじいさんの作ってくれるポテトスープでした。猫なのにポテトスープが好きって、変ですね。でもアメリカのポテトスープって生クリームがどっさり入っていたりチーズが浮かんでいたりしますから、そんなポテトスープなのかもしれません・・・と、これは、管理人(レビュー者)の勝手な想像です。
さて、おじいさんの趣味は、湖での魚釣り。猫も一緒にボートにのってでかけますが、猫が魚を捕まえたことは一度もありません。
ある日、猫がベッドに寝たままでいると、おじいさんがため息をつきました。
『なんて猫だ、まったく。なんの役にもたたないのだからな。ねずみ一匹つかまえやしない。
そして、おじいさんは、猫を家に残して、ひとり魚釣りにでかけてしまうのですが、・・・
大人がウルウル、大感動するほどのお話ではありません。でも、読み終えたあと、誰でもほんわかし、きっと顔には穏やかな笑みが浮かんでいることでしょう。
絵もきれいで、おとぎ話にぴったりです。
私が持っている文庫本では、しかし残念ながら、絵が小さくなりすぎて、絵の雰囲気に十分浸れません。 できればぜひ単行本の方(26.2 x 25.2cmの大型本)でお求めください。大きい方が絶対おすすめです。
(2014.11.15.)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ポテト・スープが大好きな猫』
- 作:テリー・ファリッシュ Terry Farish
- 絵:バリー・ルート Barry Root
- 訳:村上春樹(むらかみ はるき)
- 出版社: 講談社文庫
- 発行: 2008年
- NDC : 933 絵本
- ISBN : 9784062762304
- カラー
- 原書 :”The cat who liked potato soup” ; c2003
- 登場ニャン物 :(無名)
- 登場動物 : ブラックバード、キス(魚)li>