三田誠一『ペット病院のこわ~い話2』

「出血の量で、去勢のありがたみを出す」病院!!!・・・??。
ブラックジョークにも程がある。
そりゃもう、おっそろしい動物病院のおはなし。
この院長、大学在学中の成績たるや絶望的、教授陣に、「(追い出すために)卒業はさせてやるが、獣医師国家試験は絶対に受けてはならんぞ、約束するか」といわれた御仁。
こんな学生、国家試験を受けても落ちるに決まっている、不合格者が多いと大学の評判も落ちる、というわけ。
なのに、コッソリ受験して、何をどう間違えたのか受かっちゃった!
という、設定です。
で、そんな院長ですから、もちろん、腕も超々ヤブ医者。
注射もできない、点滴もできない、そもそもまともな診察もできない。
相手が物言わぬ動物だからこそ病院を続けていられるものの、その内容たるや・・・
なんて恐ろしい!
まさかまさか、こんなヒドイ獣医師なんていないよね、いるわけないと、笑い話のつもりで読んでいたら・・・
この本が出版されて、約10年後。
いました。
この通りの獣医。
いえ、この院長センセイより、もっと腕が悪く、それだけならまだしも(???)、はるかに悪徳な院長センセイが。
当時の各動物愛護サイト内では大騒動になった事件です。
覚えていらっしゃる方も多いかと思います。
不要な入院や手術、間違った治療、法外な治療費。数十頭もが被害に遭い、死亡したり後遺症が残ったペットも少なからず。
中には異物を体内に入れられて意図的に殺された犬まで。
とうとう、この獣医、何人にも訴えられて裁判になり、詐欺罪で逮捕もされたのですが、
悲しいかな日本の法のもどかしさよ、わずか数百万の賠償金と、たった3年間の免許停止の判決で終わった・・・
と記憶しています(あまりに頭にくる事件だったので検索して確認する気にもなれない)。
もしかしたら、ですが、
この本を読んで、悪い獣医師とはどんなものかを知っておけば、もし現実世界で悪い獣医に当たってしまった場合、見抜くことができるかもしれまません。
もちろん、そんな悪徳獣医なんて、実際には、ごくわずかしか実在していないでしょう。
ほとんどの獣医さんは、動物たちを治すために全力投球してくれるような方たちでしょう。
でも、(言葉が通じる)人間相手の医者だって、悪徳医者やヤブ医者は存在するのです。
まして、言葉の通じない動物相手の獣医さんの場合、診察は人間より困難でしょう。
善意の塊のような獣医さんが、誠意を尽くして診察したって、誤診はありえます。
これはどうしようもないことです。
動物病院選びは慎重に。
セカンドオピニオン・サードオピニオンも遠慮せずに。
愛猫を守るために。

三田誠一『ペット病院のこわ~い話2』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ペット病院のこわ~い話2』
アブない獣医さんにご用心!
- 著:三田誠一(みた せいいち)
- 出版社:KKベストブック
- 発行:1997年12月26日
- NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
- ISBN:483149299x 9784831492999
- 223ページ
- 登場ニャン物:
- 登場動物:
目次(抜粋)
- 第1章 ”日本一不幸”な獣医さんの誕生
- ある日、面談者あり
- 「臨床やってみませんか」
- 「みんな、僕、様々なんだよ」
- その他
- 第2章 超三流院長の病院でも儲かる理由
- 超一流女医、超三流院長の下へ着任ス
- オペらしいオペ第一号
- 「手術は隣町の〇〇病院に回す」
- その他
- 第3章 「腕」が一流か、「言いわけ」が一流か
- 後世に残る?院長の有名な診察
- 「おいクスリヤ!覚えてろ、バカヤロー」
- その他
- 第4章 ”ご立派”な新人教育
- ハイ、怖いのは”本物の臨床技術”です
- きわめつけの新人教育
- その他
- 第5章 院長センセイと愉快?な仲間たち
- 院長VSペット業者のプライド争い
- ペットにも”天国”があったのか??
- その他
- 第6章 好き者院長の『まちがいだらけの嫁さん探し』
- 診療業務、これすなわち、嫁さん探し
- 「石井テルミさん、いらっしゃいますか―」
- その他
- 第7章 院長センセイに効くクスリ
- センセイは役職がお好き♥
- 理事長がときどき使う手
- その他
- 第8章 院長が処方している「ペットのクスリ」
- 消炎剤?抗がん剤?心臓のクスリ?
- その他
- スペシャルコラム「院長の本音」
- 飲みスグリをうまく飲ませられないとき、クライアントさんの前でヘタを隠すには?
- 外来で駐車中にペットを志望させてしまった場合、クライアントさんにどう説明すればよろしいでしょうか?
- 外来で血管注射がうまくできないときは、どう説明すればよろしいでしょうか?
- その他