小原秀雄『猛獣もし戦わば 地上最強の動物は』
もしライオンとトラが戦ったら、勝つのは?。
私が持っているのは一番古い版。文庫本より一回り小さい、かわいらしい本だが、今は絶版。
その後、最新版では1993年に済堂出版から文庫で発行されたようだが(ISBN:9784331651872)、それもすでに入手不可のようだ。
しかし、興味のある人には絶対に面白い本だと思うので、紹介する。古本を手に入れるか図書館で読んで欲しい。
本の内容はこんな↓感じ。
序章:ライオンとトラはどちらが強いか
対決1・ライオン vs.トラ
第1章:猛獣ワールドカップ前半戦
対決2・ライオン vs.ヒョウ
対決3・チーター vs.ライオン
対決4・ヒグマ vs.トラ
対決5・ゴリラ vs.ヒョウ
対決6・ピューマ vs.ジャガー
対決7・ワニ vs.大蛇
対決8・ワニ vs.サイ
第2章:グループパワー攻勢
対決9・ドール vs.トラ
対決10・ハイエナ vs.ライオン
対決11・イノシシ vs.トラ
対決12・オオカミ vs.ハイイログマ
対決13・ペッカリー vs.ジャガー
第3章:ローカルチャンピオン
対決14・ホッキョクグマ vs.セイウチ
南極の絶対的支配者・アザラシ
対決15・シャチ vs.マッコウクジラ
孤島の王者・コモドオオトカゲ
番外地の顔役・カンガルー
第4章:猛獣ワールドカップ後半戦
対決16・ライオン vs.サイ
対決17・スイギュウ vs.トラ
対決18・アフリカスイギュウ vs.ライオン
対決19・カバ vs.ライオン
対決20・カバ vs.サイ
対決21・ゾウ vs.サイ
対決22・ゾウ vs.ライオン・トラ
終章:猛獣界のチャンピオンは誰?
いかにも面白そうな対決ばかりが並んでいるけれど、他ならぬ小原秀雄氏の本だ。薄っぺらいバラエティ番組の話題稼ぎとはワケが違う。
小原氏は前書きでこう書いている。
「人間はずいぶん動物のいるところへでかけていき、観察もしている。それにしては、猛獣どうしの戦いの目撃例はすくない。
力のある大きな動物でも、肉食の猛獣にえものとされることは、かなりある。しかし、ほんとうに五分五分ぐらいの大猛獣どうしの戦いはめったにない。けれども、いろいろの事実がわかってくると、科学的な推理はできる。
こうした事実や推理には、動物学のおもしろみがたっぷりはいっている。また、動物そのものの興味深い習性などもからんでいる。
猛獣どうしのこうした戦いの話から、動物学のおもしろさ、消え去っていく猛獣たちを保護しようとする動物保護の精神などが生まれてくるように・・・そう願って、わたしは筆を進めたのである。」
ちなみに、このまえがきの日付は昭和53年(1978年)6月。今から30年も昔の文章だ。
氏の願いとは裏腹に、この30年間で、野生動物たちはますます危機的状況に追い込まれつつある。
こういう面白い本は、何回でも再版して、とくに動物好きな若い頭に読んで欲しいと思う。そして動物学に興味をもって欲しいと思う。
ライオンやトラ、ゾウ、カバ、サイなどは、単に「強くてカッコイイ」だけの動物ではない。動物界のピラミッドの頂点に位置する彼ら猛獣たちが、のびのびと活躍できる世界こそ、バランスの取れた世界なのだ。猛獣たちがいなくなったとき、それはたとえばトラというひとつの種がいなくなっただけを意味しない。トラを頂点とするピラミッド全体がくずれたことを意味するのだ。
地球のバランスがくずれれば、地球に住む人間も滅び去るほかないのである。
(2008.4.25.)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『猛獣もし戦わば 地上最強の動物は』
- 著:小原秀雄(おばら ひでお)
- 出版社:KKベストセラーズ ワニの豆本
- 発行:1978年
- NDC:480(動物学)
- ISBN:(済堂出版 9784331651872)
- 252ページ
- 登場ニャン物:
- 登場動物: