佐々木洋『都市動物たちの事件簿』

佐々木洋『都市動物たちの事件簿』

 

都会にはけっこう多くの野生動物たちが生息している。

昔の話だが、一時期社宅に住んでいた事がある。

30歳くらいの同僚男性が、何かの拍子に、
「生まれてからまだ一度もコウモリが飛んでいるのを見たことがない」
と仰った。
「それなら、見せてあげる」
と言って、二人が一緒に住む・・・いえ、他の社員達も住んでいたが・・・社宅に帰ったことがある。

社宅の門柱まで来て、電灯にぼんやり照らされた空を見上げて、
「ほら、コウモリが沢山飛んでいる」
と言うと、男性は
「え?どこ、どこ?」
「あの、ヒラリ、ヒラリとジグザグっぽく飛んでいるのが全部コウモリ。多分、アブラコウモリ」
「うそ~!今まで蛾だと思ってた!」

本著の『はじめに』で、まったく同じシーンが出てきたのには笑った。
著者がタクシーに乗ったら、運転手が、この前コウモリを拾った、もう十年近く東京の町を流しているがコウモリなんて初めて見た、どこの山から飛んできたんだろうと、話しかけてきたそうである。
著者は、それならと車を停めてもらって、夜空を指さし、皇居の上空を飛ぶコウモリの群を見せて運転手を驚かせたそうな。

都会にも意外と野生動物たちは生息している。
都会人のほとんどが気づかない、あるいは、見ていながらそうと知らないだけで。

著者は、日本では数少ない、プロのナチュラリストである。
東京都鳥獣保護員や、自然観察指導員などもやっている。
とはいえ、住んでいるのも、事務所があるのも、東京都内。
山奥まで行かずとも、東京23区内で自然観察はできるという。

また私自身の体験談になるが、チョウセンイタチが目の前を横切ったのを見て、
「猫ちゃん!」
と言った子供に、母親が自信たっぷりに
「あれはネズミです」
と断言するのを聞いたことがある(こちら)
また、某大手掲示板で、
「野生動物をみたことのある方!どこに行けば見られますか?」
なんて質問も見たことがある。
質問者は大まじめに尋ねているのだろうけれど・・・野生のヒグマを至近距離で、とかならともかく、‘野生動物’なら東京駅でだって見られますよ?

都会住民のアナタに、特にお奨めの一冊。
これを読んで、あらためて周囲を見回してくださいナ。
一応、猫も出てきます。もちろん、野良さんだが。

(2010.4.5.)

佐々木洋『都市動物たちの事件簿』

佐々木洋『都市動物たちの事件簿』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『都市動物たちの事件簿』

  • 著:佐々木洋(ささき ひろし)
  • 出版社:NTT出版
  • 発行:1995年
  • NDC:480(動物学)
  • ISBN:9784871884006
  • 195ページ
  • 登場ニャン物:野良猫たち
  • 登場動物:烏、カモ、コウモリ、ハヤブサ、バッタ、ほか都市に住む野生動物たち

 

目次(抜粋)

はじめに

カラスは山に帰らない
矢の刺さったカモの功績
沈黙の隣人バットマン
シティ派ハヤブサの華麗な生活
東京新名物、夜鳴きゼミ
消えた仮面ライダー
謎の水獣マツドドンの正体
東京鳥類残酷物語
座敷フクロウの憐れな最期
アーバンタイガーたちの野生度
がんばれ大都会のプテラノドンたち
学校プールはワンダーランド
逆効果エコグッズ ベストテン

あとがき
地図(東京二十三区周辺のおもな公園・緑地)
参考文献

著者について

佐々木洋(ささき ひろし)

プロ・ナチュラリスト
東京都江戸川区に生まれる。15年以上にわたり、ボランティア、東京都鳥獣保護員、(財)日本自然保護協会自然観察指導員など、さまざまな立場から自然保護活動を展開してきた。
現在、日本では数少ないプロフェッショナルのナチュラリストとして、国内・外の各地をフィールドに、講演、執筆、テレビ番組製作のコーディネイトなど、幅広く活躍している。翻訳に『水元の野鳥』(東京都葛飾区)、共著に『身近な昆虫』(主婦の友社)、『昆虫の博物誌』(東京都江戸川区)などがある。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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これは、うちの倉庫に飛来したキクガシラコウモリ。よく見ると、かわいいでしょ?

佐々木洋『都市動物たちの事件簿』

7

生物度

8.5/10

面白さ

7.5/10

猫好きさんへお勧め度

5.0/10

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